プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会

【イベントレポート】行列のできる税理士相談所!確定申告ビギナーもベテランも【フリーランスなら必ず知っておきたいシリーズ】

2021年11月30日(火)に、来年度から施行される電子帳簿保存法や、それに伴う確定申告のイロハをテーマに ランチタイムウェビナーを開催いたしました!
700名以上の方にお申込みをいただき、フリーランスの皆さんの関心の高さを感じました!

詳しい解説を含むレポートは後日フリーランス協会のオウンドメディア「フリパラ」でもご紹介させていただきます!

確定申告の基礎知識の説明&節税効果のある公的制度 税理士法人BlueWorksTax俣野先生

税理士法人BlueWorksTax俣野先生より、確定申告について解説いただきました。前半では、確定申告の基礎的なお話から、確定申告までの1年間のスケジュール感、よくある質問など、要点をコンパクトにまとめてお話しいただきました。
後半では、「所得構造と節税」として所得税を下げる方法についての解説や、「フリーランスが使える公的制度」として4つの公的制度の控除方法やメリットデメリットについて詳しくお話しいただきました。

▼俣野先生の資料はこちら


〇税理士法人BlueWorksTax
https://blueworks.co.jp/
〇フリーランス協会 会員優待
https://www.freelance-jp.org/benefits#b160

電子帳簿保存法の解説 国税庁課税総括課/長内氏

国税庁 長内氏より電子帳簿保存法について解説いただきました。電子帳簿保存法についての全体像から利点やルール、令和4年1月以降に対応が必要となる、電子取引データ保存について焦点を当てて保存方法や注意点等お話しいただきました。
電子帳簿保存法についての皆様からの質問にもお答えいただきました。

Q.電帳法改正に伴って青色申告の65万円控除の要件が変わるのかどうかよくわかりません。前年と変わらずe-Taxによる電子申告をすれば65万円控除を受けられるのでしょうか。
A.e-Taxで電子申告をしていれば引き続き問題なく65万円控除が可能です。もし電子帳簿で65万控除の適用を受けるためには、仕訳帳・総勘定元帳が(訂正削除履歴が残る等の)優良な電子帳簿でなければなりません。

Q.電帳法保存を始めるにあたって手続きが必要なのか知りたいです。
A.従来は税務署長による事前承認が必要でしたが、令和4年1月以降は承認が不要となりました。各人において要件を満たして対応すれば大丈夫です。

Q.クレジットや銀行の明細や、領収書が出ないタイプの月間のサブスクサービスの利用、アマゾンの領収書でウェブページにこれを印刷してくださいと出ているもの等はどのように保存をすれば良いでしょうか。全部PDFで保存する、クレジットカードの履歴を保存するなど保存方法を教えてください。
A.Amazon画面等はPDF印刷で保存していただければ問題ありません。保存すべき場面は、その内容を紙で受け取った場合に保存すべき内容がデータの形で提供されている場合ですので、何かご判断いただく際に不安に思ったら、もしこれを紙でもらっていたら自分は帳簿書類として保存しなければならないのかどうかという視点からお考えいただいてご判断いただければいいかなと思います。

サブスクサービスで領収書が無い場合などは、支払内容が分かる形になっていれば一般的に差し支えないと思われますが、個別の取引内容次第ということになります。

Q.これまで特に電子保存を申請していなかった過去の記録の扱いがどうなりますか。
過去の紙をいつまで持っていないといけないかとか、電子に統一して破棄してもいいのか知りたいです。
また、帳簿書類の保存義務が7年間あるかと思いますが、仮に電子保存することとした場合、ハードディスク・バックアップが壊れた場合にはどうなるんでしょうか。何か罪に問われたりとかするんでしょうか。
A.事前承認が不要となった改正内容は令和4年1月以降に適用されるため、令和3年12月以前の分については、改正前で電子帳簿保存の承認を受けていない方であれば従来どおり紙で保存することが基本的に必要です(廃棄することはできません)。

また、無用な心配をしないためにもバックアップをしていることが望ましいですが、必須ではありません。データが壊れてしまった場合については、然るべきご努力をされていて、意図的ということもなければ、調査官から必要以上に追及するようなことはないと思います。いずれにしても、状況次第になりますのでなかなか確たるお答えを申し上げることは難しいのですが、しっかりご対応いただいていればあまりご心配いただく必要はないということが基本になるかと思います。

Q.タイムスタンプについて、たとえばネット販売で購入した時の領収書のタイムスタンプというのは、通販サイトからのダウンロード日時なのか、それとも領収書上に記載されている日にちなのか。また、メールで受領した電子文書はメールの送付日時なのか、もしくは会計ソフトに登録した日時なのか教えてください。
A.タイムスタンプは、そのデータがタイムスタンプを付与した時点以降に改ざんされていないということを証明する仕組みになります。

タイムスタンプを付した日時情報がタイムスタンプの中に日付データとして組み込まれる形になります。
ですので、タイムスタンプを付す日時を操作・設定するということ自体ができませんので、ご自身でどの日付を設定すればいいかといったことをご心配いただく必要はありません。

Q.フリーランスに対する税務調査の可能性はどの程度ありますか。
A.税務調査というのは、基本的に定期的に入るとかそういったものではなく、日頃情報収集している中で調査の必要があると認めた場合に行います。

このセミナーをご覧になっている方々は非常にまじめな方々だと思いますので、ことさらご心配いただく必要はないのだろうと思いますけれども、フリーランスの方に対しても場合によっては税務調査が入ることもあります。

▼国税庁/長内氏の資料はこちら

〇国税庁 確定申告特集(令和4年1月4日~)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/
※令和4年1月3日以前は以下のURL https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/r03junbi/
〇電子帳簿保存法関係
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm
〇電子取引データ保存などのパンフレット(事務処理規程サンプルへのリンクあり)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/08.htm
〇電子帳簿保存法に関する国税庁YouTube動画
①令和3年度改正の紹介: https://www.youtube.com/watch?v=OBEmmleCTwk
②制度利用のご案内: https://youtu.be/6vcu5ZRpZd4

電子帳簿保存をふまえた確定申告クラウド会計活用術 freee株式会社/尾籠氏

freee株式会社 尾籠氏よりfreeeを用いた確定申告方法について解説いただきました。その場でアプリを使って登録を行いながら、電子帳簿保存法への対応や登録のスムーズさをご案内いただき、後半では皆様からの質問にもお答えいただきました。

Q.アマゾンと連携している場合、PDFの領収書は別途保存が必要なんでしょうか。
A.freeeは自動連携した明細について削除ができない仕様となっているため、freeeであれば明細のみで保存が可能です。明細自体が電子取引データの原本となります。なお、Amazonに関わらず、freeeが自動取得した取引内容から取引先名が把握できない場合は、freeeで処理する際に備考欄などに取引先名の入力が必要となります。

ただ、明細だけでは不安があるといった場合はfreeeが取得した明細にダウンロードしたPDFを添付していただくことも可能です。

Q.銀行口座やクレジットカード、私生活でも使っている場合、すべて入力されてしまい使いづらいでしょうか。
A.はい。使いづらくなります。本来自動で処理できるのに、混ぜることによって「これはプライベート、これは事業…」と随時チェックする必要が出てきますので、ぜひ事業用途のものを用意していただけたらと思います。分けていただけると本当に楽になります。

Q.例えば請求書を取引先に送る時にチャットワークとかPDFで送っているのですが、タイムスタンプのためにメール送付をしなければいけないのでしょうか。メールの受診日、その電子証明書のタイムスタンプがどういう仕組みなのかを知りたいです。
A.たとえば手書きの書類を考えてみると、正確にコピーしたり改ざんすることは難しいと想像がつくと思います。その反面PDFだとコピーして改ざんされるリスクは紙より上がります。

このようなリスクを回避するために「それ以降改ざんができませんよ」「これが原本ですよ」という証明を行う仕組みがタイムスタンプになります。
ですので、タイムスタンプを付与したデータというのは、付与以降に変更がされていないことの証明になります。つまり、紙で言うハンコとか契印みたいなものを電子上につけるという風に思っていただけたらと思います。
タイムスタンプはメールやチャットツールで送ったとしても付与されるものではなく。専用のシステムに格納して初めて付与できるものとなります。

Q.自分がPDFで作ったものをSlackとかチャットワークでお送りするっていう行為はこのまま続けていても大丈夫でしょうか。
A.そこは問題ございません。それを受け取り先の方でタイムスタンプを付与するのか、タイムスタンプを付与した上で送るのかというのは、そこはどちらでもいいところかと思います。

基本的に受け取った側がタイムスタンプを付与した上でシステムに保存することがほとんどだと思います。

Q.自分が請求書の受け取り手だった場合は、freeeさんみたいなサービスを使って取り込んだ時点でタイムスタンプが押されるということでしょうか。
A.そうですね、システムで対応する場合は、タイムスタンプを付与するか、又は訂正削除履歴があるシステムを使うかの2通りありまして、freeeの場合は訂正削除履歴を今回リリースさせていただきました。そのため、紙をスキャンしてfreeeに投げ込んでいただけたらタイムスタンプを付与せずに保存が可能となります。更に、freeeでは社内規定のテンプレートも提供しておりますので、それもあわせて活用いただくことで、さまざまな電子保存の方法にも対応できるようになっています。

Q.無料で使えるタイムスタンプ、電子証明書付与のサービスを教えてください。基本的にはfreeeさんみたいに何か有料のサービスを使わないと電子証明書付与はできないということなんでしょうか。
A.そう思っていただいて問題ないと思います。

▼freee株式会社/尾籠氏の資料はこちら


freee株式会社
〇freee会計 電子帳簿保存法改正 完全対応
https://www.freee.co.jp/houjin/electronic-book/
〇freee電子申告開始ナビ
https://www.freee.co.jp/kakuteishinkoku/e-tax/start/

パネルトーク 〜行列のできる税理士相談所 〜税理士さんに聞くホントのところ〜 俣野先生・宮崎先生

皆様からslidoでお寄せいただいたご質問について、回答いただきました。

Q.先生方が過去にご覧になったヤバすぎる会計を教えてほしいです。フリーランスがやりがちなヤバい間違いなどがあれば知りたいです。
A.宮崎先生:貸借対照表の通帳残高と会計データの残高が一致していないことがあります。確定申告書で青色申告の特別控除の65万円控除または55万円控除を受ける時には、収入費用だけじゃなくて、どういう資産持っていますかとかどういう借り入れがありますというのを書かなければいけませんが、たまに申告書を見たら預金残高がマイナス50,000円とか、普通あり得ない数字だったりすることがあります。

Q.なぜ上記のようなことが起こってしまうのか、考えられる原因と対策を教えていただけますか。
A.

宮崎先生:考えられる原因は入力する際に、預金から引き落とされるものを現金で払ったという処理にしてしまうと、預金残高がずれてしまいます。そのため、通帳の入出金を登録するとき、そして確定申告をする際には、預金残高が合っているか確認してください。
プライベートの口座とかお金のやり取りと、お仕事のやり取りというのを分けると非常に楽になります。
freeeですとタイムラインという機能があるので、それを見ると通帳残高と実際残高、freeeで登録した残高がずれてることがあとで分かるようになっています。

平田:やはり口座とカードは、しっかり家計用と事業用で分けておくことが大事だということですね。

Q.税理士さんにお願いすべきかどうか悩んでおり、お願いの仕方やタイミングが知りたいです。どう探せばいいのか。
A.

俣野先生:記帳を依頼するかどうか、確認と申告書の作成以降のみか、所得の種類を把握しておくなど、依頼内容を明確にしておくとよいかと思います。税理士への依頼のタイミングは、11月末頃までにあらかたの帳簿付けをして、当期の所得見込みをざっくり把握し、簡単な決算対策とか来期の法人成りの検討や消費税対策等の将来を見据えた対策をやった方がいいと思うので理想は今ですが、今からだと当期の決算対策を行うのは難しいと思うので、年明け1月中には見つけた方がいいかなと思います。
遅くなればなるほど、税理士側のキャパの問題で、だんだん受けてくれる税理士が減っていく傾向にあります。
あと税理士選びは、最終的にやることは記帳・申告と一緒なんですけど、多くの重要な情報を共有するために、密なコミュニケーションを取るので、相性が大事だと思います。なので、何人かの方と面談して相性が合う人とか話しやすい人とかそんな感じでいいと思います。

宮崎先生:帳簿付け(税金以外)の部分は、早めに相談されたほうが良いと思います。顧問契約でなくても、事前準備をすると3月に楽になります。何を相談したらいいか分からない方は、それが色々な税理士さんとお話するきっかけになるかなと思います。
それで何人かとお話して相性がいい税理士さん探すというのがいいと思います。私の提案としては、最初スポットで相談して税理士さんを探すというのがいいと思います。

Q.日々発生する経費の領収書すべてPDF化しなければいけないのでしょうか。
A.
宮崎先生:個人的な意見なんですけど、電子帳簿保存法すべて最初から対応しなくてもいいと考えます。理由は電子帳簿保存法に寄せると作業量が増えてしまうということが考えられるためです。
ですのでfreeeの方には申し訳ないのですけど、最初から紙のレシートや領収書を電子化というのをあえてやめて、今まで通り紙は手入力する。これはまだ認められています。
いけないのが電子取引、PDFファイルでもらった請求書は、原本であるもらったデータを捨ててしまうということがだめなので、ここの部分だけスタート。たとえばファイル名を工夫するとか、事務処理規定を作るとか、場合によってはPDFの部分だけfreeeに添付していく、電子取引の分だけPDFファイル添付していく、この部分からのスタートでもいいと思います。
作業を優先するか、電子帳簿に対応することを優先するか、ちょっと天秤にかけて考えてみてください。

Q.領収書とか請求書を保存する時オススメなフォルダ構造とかデータ名の命名規則があれば知りたいです。
A.
俣野先生:国税庁が出している電帳法のQ&Aに、こういう名前で保管するといいですよ、みたいな例示があるので、それに沿ってやるのがいいのかなと思います。
参考:電子帳簿保存法一問一答-国税庁
問12 、問33参照

宮崎先生:その通りだと思います。目的目標は『あとで検索しやすくするため』というのがあるので、そうすると調査官の方もおっしゃったとおり調べやすい。調査官の方も時間短縮につながれば、税務調査の時間が短くなるのでwinーwinだと考えます。その部分で協力するためにファイル名はそちらがいいと思います。
もしフォルダで分けるとしたら支払手段。同じフォルダに現金・預金・クレジットカードとあったら、あとで検索しにくいと思うんですよ。
ですので、これは電子帳簿保存法というより、あとでバックオフィスの事務作業を減らすというために出来ればフォルダは支払手段で分けた方がいいと思います。

Q.個人事業主です。現在すでに電帳法のスキャナ保存に対応しています。しかし対応クラウドシステムの維持費が高額なので廃止を検討しています。どうにかコストを抑えて対応し続けることはできないでしょうか。
A.長内氏:ご質問いただいた場面というのはスキャナ保存の場面となっております。心苦しい回答になりますが、専用システムを活用し続けていただく、それが難しいということであれば、紙保存で対応していただく、ということにならざるを得ないと思います。
電子取引の関係では、事務処理規定によって改ざん防止を図るという方法がありますが、スキャナ保存の文脈では事務処理規定による対応が認められておらず、基本的にはタイムスタンプ、または訂正削除履歴が残る専用のクラウドサービスを、他の要件も満たしながら使うということになります。繰り返しになりますが、基本的に、システムを使っていただかざるを得ないのかなと思います。

Q.タイムスタンプが訂正できないとなった場合、もし取り込まれたものの科目などが違っていた場合、修正仕訳を入れなければいけないということでしょうか。
A.長内氏:恐らくご質問いただいている場面は電子帳簿の場面なんだろうと思います。帳簿の文脈でタイムスタンプを付すという場面はありませんので、あまり現実的にご心配いただく必要はないのかなと思いますが、freeeさんより補足回答をお願いします。

尾籠氏:そうですね、基本的に電子帳簿保存法と仕訳、スキャナ保存ですね、紙で受領したものとかPDFで受領したものと仕訳というのはちょっと別物で考えていただく方がいいのかなという風に思っております。
たとえばですね、先程お話にあった通りドロップボックスとかそういうのでも、ちゃんと金額と日付と取引先さえあれば保存ができます。
一応要件というのはあるんですけども、事務処理規定を備え付けなきゃいけないんですけど、書類の電子化と仕訳っていうのは別物というふうに考えていただいていいのかなと思います。
※取り込んだら改ざんできないというのは、電子明細のことです。預金通帳などを電子明細で取得したら一切修正ができませんが、仕訳自体は修正できます。

Q.夫の扶養に入りながらフリーランスで働く場合の確定申告の必要性について教えていただきたいです。所得が扶養の範囲内だったら確定申告の必要はないのか、それともしておいた方がいいのか、注意点などがあれば教えてください。
A.
宮崎先生:実は所得税の申告書は、税金計算以外にも大切な資料なんです。収入がいくらありましたという証明書類にもなるんです。申告しているのとしてないので信憑性が変わってきます。
ですので税金が0円であっても、あえて申告して次の取引の時にちゃんと実績ありますよと説明する準備をしておいたほうが、手間かもしれないけど個人的にはやった方が得なことがあるなと思います。手間を考えるか、事業展開を考えるかでちょっと天秤にかけていただければと思います。確定申告の準備として、個人事業の収入や支出のサラリーマン時代の年末調整と同じ控除証明書(民間の生命保険など)や源泉徴収票の準備が必要かと思います。また、初年度、フリーランスの収入が少ないときは、税金が還付される可能性があります。

俣野先生:給与収入の場合は103万の壁というのがありますが、事業所得の場合は合計所得が48万円を超えるかどうかです。ここを誤って、青色特別控除65万円を所与として、事業収入が103万円なので、申告しなくてOKと勘違いしないようにお願いします。青色特別控除は、期限内に申告を行って初めて適用されると解釈されており、また、期限後申告になると、65万円控除ではなく10万円しか使えなくなってしまうので、注意が必要です。
参照:青色申告の基礎知識-freee

Q.今年の途中に、会社員からフリーランスになった方、もしくは今年はじめて確定申告する際に注意すべきことを押さえたいです。
A.
俣野先生:給与としてもらっていようが事業として受け取っていようが、それらを両方合算して申告する必要があります。誤って、事業所得部分のみを確定申告される方もいるため注意が必要です。

宮崎先生:給与の収入に対する所得税いくら、個人事業の所得に対する所得税いくら、とそれぞれ計算した所得税を合計するのではなく、給与、所得、個人事業とか雑所得などのすべての所得を計算して、その所得の合計額に対する税金計算をする仕組です。
様々な所得から得た収入に対して、天引されているのでは?と疑問に思われる方もいらっしゃるのでは?と思いますが、実は確定申告書の中で天引きされている金額は、精算されることとなります。
たとえばトータルで税金計算して15万円でした。ただ給与から10万円引かれてました。そうすると、実は確定申告書に前もって税金計算引かれているのが10万円ありますよと書くところがあるんです。
そうすると15万円から10万円引いた後の残り5万円、残り5万円を納めますというようなルールになっています。
そのために給与をもらっているときは、もらっている先から発行される、源泉徴収票などの準備が必要になります。
更に説明をすると、恐らくサラリーマンの時にこの時期年末調整で、控除証明書を会社に提出されていると思うんですね。生命保険とかあと地震保険とか。
確定申告書でも必要になります。ですので年末調整と同じ書類、プラスアルファふるさと納税や医療費控除、確定申告で今までやっている人はご存知だと思いますが、そういうのもひっくるめて確定申告書を作るので、全部、収入も経費も控除証明書もまとめて確定申告書を作る備えをしておいてください。

平田:控除証明書は会社員の方の場合は年末調整のために会社に原本出してしまっていると思うんですけれども。

宮崎先生:フォローありがとうございます。
仮に、副業、フリーランスとサラリ-マンをやられている方いらっしゃると思うんですけれども、源泉徴収票の欄で生命保険いくら、地震保険いくらと書かれている欄があるんですね。
実は提出されても控除額は給与の方で集計されます。その際には改めて確定申告書で記載しちゃうと同じ控除額が二重控除になってしまうので、確定申告ではいらないです。源泉徴収票に記載されている生命保険料などの控除する金額は、源泉徴収票の金額を、拾えば大丈夫です。

Q.現在正社員として働きながら副業としてフリーランスで働いています。
おかげさまである程度の売り上げになってきて、正社員のままで節税目的で法人化する場合の売上目処を知りたいです。
なお、副業はコンサル系なので経費はほとんどかかっておりません。
A.
俣野先生:法人化することで多分税務メリット狙っていると思うので、要は税率差を狙いに行くってことだと思うんですよね。
ちょっと先ほどの話にも関わりますけど、日本の所得税って所得が増えれば増えるほど税金が上がっていく累進課税っていう形を取っているので、今正社員として働きながら事業の方の法人化を検討ということなので、正社員の給与と事業の所得を合計した額、その所得に対する税率が法人税の税率より上回っているか下回っているかというのを、考える人が多いです。
一般的には合計の利益水準のベースが500~700万くらいが目安と言われているので、給与所得プラス事業の利益、今回の方はあまり経費がないということだったんで≒売上だと思うんですけど、給与所得プラス売り上げが500~700万の域に行った時くらいに検討しだすのがいいのではないかなと思います。

宮崎先生:税理士なんですけど税理士以外の観点で法人化する場合は、ここを気を付けてくださいというのをお伝えします。
すごく手間が増えます。個人の方って税務署だけに申告すれば良いのですが、仮に法人化した場合、申告する先は、たとえば私が住んでるところが神奈川県川崎市、事務所もここなんですけれども、それですと県、神奈川県とあと川崎市にも申告しなければいけません。
さらに会社にすると、強制的に年末調整など、今まで確定申告でよかったものが給与を会社からもらうことにすると年末調整しなければならないとか、この時期だと償却資産税の届け出を出さなきゃいけないとか、会社に給与支払報告書といった具合に様々な書類が届きます。個人事業主の時と比べて、かなり手間がかかるんですよ。
ですので節税というだけでなくて、それくらい手間が増えても法人として活動する意義があるかというのをちょっと考えて法人成りは検討された方がいいと思います。
法人にした方が活動する範囲は広がったりとか節税する手段はあるんですけど、手間が増えて結果としても税理士さんに頼まなきゃいけないかなとなっってしまうと思います。そこも含めて検討してみてください。

平田:法人化すると社会保険料の支払い負担も増えますよね。

宮崎先生:はい。個人事業オンリーの方だと、国保(国民健康保険)なんですけれども、会社にすると役員報酬で給与をもらって、社保(健康保険組合)に加入することになるんですね。そうすると、思ったより社会保険がかかったりすることもあるので、節税という税金だけじゃなくて出ていくお金が増えるか減るかというのを含めて検討した方がいいと思いました。

平田:そこの検討はなかなか個人で計算するのが難しいと思うんですけれども、税理士さんや社労士さんにそういう相談だけのっていただくことも可能なのでしょうか。

宮崎先生:そういう相談をスポットで応じていただける税理士や社労士はいると考えます。
有料でも無料でもありますし、社会保険関係が入ってくるから難しいかなと思いますけれども、自治体で相談会みたいなことをやっていることがあるので、インターネットで調べてみて、そこで知り合った税理士や社労士がいたら、その方と顧問契約するのもいいと思います。

Q.12月に入ってからでも可能な節税対策どんな手段がありますか。
A.

俣野先生:パッと思い浮かぶのがふるさと納税なんですけど、ふるさと納税しようと思うと、今年どれくらい所得出るか分からないと、多く寄付し過ぎて損するみたいな事態になるかもしれないので、ちょっと悩ましいですね。あと、さっきご説明した公的制度ですが、公的制度は手続きに時間がかかるので、早めの対応が必要だと思います。

宮崎先生:俣野先生のふるさと納税とか追納っていうのはいいと思います。
もし追加するとしたら今まで我慢していた備品ですね、白色申告とか雑所得の方は10万円未満、青色申告の方は30万未満です。買うだけじゃダメですので、実際にお仕事のために利用してください。
そして12月31日までに利用開始してください。将来の所得税・住民税納める税金を増やすための投資に回してもらうといいと思います。ご検討ください。

Q.経費の妥当性というのは自分判断だと迷ってしまいます。何か目安が分かるサイトなどないでしょうか、たとえばエンジニアならこれはOKだがこれはNG、デザイナーならこれはOKという基準があれば知りたい。
A.
俣野先生:これはちょっと難しいですね。うちの事務所の方針はご自身で事業関連性があるって言えるのと、社会通念上妥当な金額だってこの2個が主張できればOKにしています。
僕らより皆さまの方がご自身の事業に詳しいので、ご自身の主張を最大限に尊重し、客観的に見て、明らかに事業からかけ離れているとか、金額的にヤバイとかそういうのがあればお伝えすることにしています。ちなみに、エンジニアの方々ではないですけど、他のある業種の方で同じ職種、同じ業種の方が集まっているコミュニティみたいなところがあって、そこで色々な情報交換されてたりするんですよね。
そこで、経費処理についても、私の税理士はこれOKって言われましたよみたいな情報交換されてて、税理士としてはめちゃくちゃ怖いですけど(笑)、そういう場で情報をゲットすることもできます。というか、経費については、皆にこれだと言えるような明確な一律の基準、ルールがないのでそういうオフレコの場でしか具体的な情報はゲットできないと思います。

宮崎先生:そうですね、これ本当に俣野さんが言う通り、本当に難しいと思います。オフレコの場面でしか聞けないと思いますし、エンジニアとかひとくくりでは説明できないかなというのがあります。
たとえばなんですけど、エンジニアの方でも子供向けのサービス提供している人と、サラリー向けのサービス提供しているものでしたら、参考にする材料とか活動する場所が変わってくると想定されます。
そうすると客観的に見たら経費計上としておかしいよね、たとえば子供用の参考資料を買ったと言っても、何でお仕事に関係するの?というのは、その人でないと説明できないですよね。
ですので、できればその人が俣野さんがおっしゃったとおり、これお仕事で使ってますよということと、これ高すぎるかなと悩むものは計上しないようにして、安めのもの、世間一般でこれだったら一般の人も買っているだろうという金額のもの程度を計上するっていうのに押さえておいた方がいいんではないかなと思います。

平田:税務調査が入った時に、ちゃんと自信をもって「これはこうこうこういう理由で使っています」と説明して、納得を得られる可能性が高いものでないと計上できないということですよね。

宮崎先生:何となくこれ不安なんだけどなって思いながら税理士さんに質問するとしたら、計上しない方が無難ですね。

Q.かつては不可とされていたが今では考え方や解釈が変わって計上可能となっている経費があれば教えていただきたいです。スーツは今でも計上できないですか。
A.俣野先生:最近働き方が変わってきて、在宅勤務リモートワーカーみたい働き方が増えてきたと思うんですけど、

家でも使うし仕事でも使うし、家事按分何%にしたらいいですか、事業費率何%にしたらいいですか、とよくご質問を受け、明確に何と答えたらいいか税理士としても課題でした。そんな中、国税庁から在宅勤務に関するQ&Aのサイトが出て、その中に、按分比率の計算の例示が記載されています。その内容を見ると、按分比率も、ある程度合理的であればそこまで厳密でなくていいよ、といった見解に読み取れるので、そのような指針が出たというのは、時代の変化に伴って、新たに経費計上できるものが増えたとも考えられるのかなと思っています。
参考:在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)-国税庁

Q.自宅を仕事場として利用している場合、電気料金だったりネット料金だったり電子帳簿上はどういった処理をすればいいか。
A.
平田:領収書は普通に満額のものを出しつつ、一部を按分されていますということを家事按分の欄に記入するという事でよろしいでしょうか。

宮崎先生:そうだと思います。freeeもそうですし弥生とか他のベンターさんもそうなんですけれども、最初100%入力しておいて決算整理で家事按分ガツンと減らす機能があります。
電子帳簿保存法と経費計上割合(家事消費や事業供用割合)とは関係ないので、今まで通りで帳簿付けすれば大丈夫です。

Q.たとえば12月中に制作物を納品して12月末に請求書を発行し、1月末に入金があった場合、この売り上げは今年度計上でしょうか、それとも来年度計上でしょうか。
A.俣野先生:これは売上は発生主義なんで今年の売り上げで全然OKなんですけど、あとはこの方が青色申告を選択しているのか、白色申告を選択し、現金主義で会計処理を行っているのか、その人の会計方針にもよると思いますが、いずれにせよ、一番正しい実態を反映させるという意味では、今年の売上処理でOKです。

Q.コンサルティング業でマージンやお客様紹介料というのが入った場合、これは一時所得と考えるものですか。
A.宮崎先生:これは一時所得ではないです、雑所得か事業所得になります。

さらにこれは自分の見解ですが、お仕事に関連する収入ということなので、私は雑所得ではなく事業所得、仕事に関連する収入、個人事業に関係する収入だなという判断をしました。

Q.日本でライターはじめて海外に移住しています。住民票は抜いていますが海外の就業許可がなく日本のクライアントさんで日本で納税したいのですが、住民票がなくても開業届けだせるのでしょうか、どのように納税すればいいでしょうか。
A.
俣野先生:こういう人増えているんですよね。最近こういう相談多くて、結構専門性の高い分野で難しいなと思っています。
ただ、今日本に住民票はなし、海外勤務されている、海外に住まれているという状況を考えると、住民票の有無というのが絶対というわけではないのですが、その人の居住地がどこなんだというのを結構実態的に判断されちゃって、自分が確定申告したい方を居住地に自動的にできるわけじゃないので、
この方の場合、海外に住んでいる期間が今年日本よりも長かったとかそういうのであれば、日本で申告するのは正直難しいんじゃないかなと思いました。
今回のケースとは別に、海外行かれた方でも日本で申告しなくちゃいけない場合というのも確かにあって、日本で発生している、たとえば家を貸しているとか日本の株で儲けているとかそういうものなんですけど、そういうものを申告する場合は納税管理人っていう人を海外に行く前に誰か任命しなくちゃいけないんです。その後、その納税管理人の人が代理で日本で申告するというルールになっています。

宮崎先生:そうですね、仮に非居住者になった時確認するとしたら、日本とその国が租税条約を結んでいるかどうか確認することですかね。
クライアントである、お金を払ってもらう側が源泉徴収しなきゃいけないかどうかっていうのを調べないといけないとかいろいろ出てきます。前もって租税条約を結んでいるかどうか確認した方がいいかなと思いました。

【追加】Q&A 質疑応答

セミナー内で回答できなかったものについて、こちらで回答させていただきます。

Q.請求書を作成する場合、税込み・源泉徴収込み(復興税あり)にしております。例えば、込み込みで10万円と取引先にいわれれば、税込みにして、源泉徴収を引いて、89710円が自分の口座に振り込まれる流れです。確定申告で、源泉徴収分は大体は取り戻せている感覚ですが、この税込み、源泉徴収の考え方を教えて下さい。
A.宮崎先生:こちらについては、請求書の計算上、天引されている源泉所得税が適切に還付されているかどうかの確認という前提で、説明させてください。確定申告書の番号㊽に源泉徴収された金額の記載があるか、確認してください。

Q.今年9月にサラリーマンを退職し、現在失業給付を受給しています。フリーランスとも言えない状況ですが確定申告はどのようにすれば良いでしょうか?
A.俣野先生:年末調整をしていない状態なので、確定申告が必要かと思います。その際、失業給付は申告不要です。

Q.免税事業者の確定申告はインボイスによってどう変わるのか(消費税など申告すべき点がどのくらい増えるのか)。
A.フリーランス協会ニュースページで詳しく解説しております。

・【プレスリリース】「インボイス制度導入によるフリーランスへの影響・不利益を最小限とするための取組み要請」を申し入れ
・【イベントレポート】インボイスとやらが話題ですが、何をどうしたらいいのか教えてください
・インボイス制度で個人事業主・フリーランスはどうなる?税理士さんに聞いてみた!(2021年11月11日最新)

Q.免税事業者が法人から消費税込みで支払いを受けた場合、確定申告はどのように処理すればよいでしょうか。
A.俣野先生:いわゆる益税と言われる部分ですので、実際の入金額である、税込の金額で売上計上してOKです。(インボイス制度適用でなくなる可能性があります)

Q.海外在住者(インド)の納税方法について知りたいです。
A.俣野先生:納税管理人の選定が必要かと思います。

Q.アメリカ本社の企業からマーケティング委託を受けています。アメリカ本社から今は支払いを受けているのですが、消費税を支払ってもらうべきでしょうか。源泉徴収はしてもらわなければならないのでしょうか?また、支払いを日本本社からの支払いに変更してもらった時に消費税、源泉徴収への対応は変わりますか。
A.俣野先生:現時点では、消費税なし・源泉なしでOKかと。変更後は消費税あり、源泉は場合によるかと思います。

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