「自律が命」のフリーランスこそ知っていたい、感覚に頼らない「お酒の適量算出法」
フリパラ読者の皆さん、こんにちは。フリーライターの奥野 大児です。
フリーランスに限らず、仕事をしている以上は仕事相手とのコミュニケーションがあり、中にはお酒を飲むようなこともあるでしょう。感染症の流行中は控えめになるかもしれませんが、それでも少人数で静かに行われることはあります。「飲みニケーション」などという使い古された言葉もあるとおり、お酒はコミュニケーションツールの一つです。
仕事の場にも登場してくるお酒。けれども「正しいお酒の飲み方」を知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。以前であれば「上司や先輩からお酒の飲み方を教わる」という風潮もあったのかもしれませんが、それも一昔前の話。また、早くからフリーランスになった人であれば、お酒の飲み方は完全に自己流という人も少なくないはず。
仕事相手とお酒を飲む際に大切なことは、当たり前ですが「自制心を失わずに『酔い』をコントロールすること」。僕は20代前半で酒量のコントロールができるようになったので、22歳で就職した後に悪酔いしたことがありません。
お酒と上手に付き合うには自分の酒量を把握するのが何よりも大切です。適切な酒量を把握していれば、時間や場所が自由なフリーランスであっても「ついつい飲みすぎて二日酔いに…‥」という悲劇を防げます。
ドリンクの純アルコール量を知ろう
考え方のベースは、時間ごとに摂取できる純アルコール量を知る、ということです。
純アルコールは、言葉通り、他の成分を除いたアルコールの量です。公式は
です。ドリンクの量・アルコールのパーセンテージは瓶や缶に記されています。
例えば、350ml(およそ350グラム)の缶ビール(アルコール度数5%)の場合でしたら、
が純アルコール量と言えます。
アルコール度数15%の日本酒1合の純アルコール量は、1合は180mlですから
です。
アルコール度数12%のワイン1本(750ml)であれば、
ということになりますね。
つまり、12%のワインをボトル1本(純アルコール量72グラム)を飲んだ、という場合、5%のビールの350ml缶を5本(純アルコール量 14×5=70グラム)飲んだのとほぼ同量のアルコールを摂取した、と言えるわけです。
純アルコール量の計算が分れば、一度の機会でアルコールをどのくらい摂取できるかの目安が分ります。
上の画像の場合はアルコール度数を37度としましたら、350mlの瓶なので、
瓶の容量がビールの缶などと同じであることを考えると、このボトルのお酒は、アルコール度数5度のビール(350ml缶)の7本分以上の純アルコールが含まれているお酒、と考えることもできますね。
飲む時間を考えて、純アルコール量の「時速」を知ろう
ここまでは考え方のベース。ここからは限界を知り、悪酔いを避けるポイントです。まずは、飲む時間を把握して、摂取できる純アルコール量の時速を計ります。
これは簡単な割り算です。一度の飲食機会でアルコール度数12%のワイン1本(750ml)を飲みきる場合を想定します。
例えば、3時間でワイン一本空ける人は、1時間当たり24グラム、純アルコールを摂取できます。この場合、この人の純アルコールの摂取時速は
です。
2時間でワイン一本空けられる人は、1時間あたり36グラム、純アルコールを摂取できます。
同様に、この人の純アルコールの摂取時速は
となります。
他のどのお酒を飲んだとしても、この純アルコール摂取時速を守るペースで飲めば、ワインの時と同程度の酔いで済むはず、という理屈になります。
お酒を飲みながら頭を使って、気持ちよく飲める酒量を知る
ここまで計算した酒量は、あくまで上限を知るためのものです。ビジネス飲みをする際には、限界まで酔うのではなく、余裕のある飲みをしなければなりませんよね。
限界ではなく楽しい範囲の上限を判断するために、僕がおすすめしたい方法は、
ことです。
20代のころに自分の酒量を知ろうと思った際は、古本屋さんで買った小さな活字の小説を読みながら日本酒を飲んでいました。小説を読むのが面倒になった時に飲んでいた時間・酒量を知ることで、快適なお酒の時速を知ることができたのです。なお、20代の頃は純アルコール量の概念を意識したことが無いため、
というペースを守るようにしていました。ただ、なんとなくですが「ビールのアルコールの濃さは日本酒の3分の1」という認識があったため、ビールであれば4合×3=12合分(=2,160ml)くらいまでは飲んでも大丈夫、と考えていました。今思えばこの考えが正しかったわけです。
僕の場合は小説でしたが、何を楽しむかは人それぞれ。ある程度時間をかけて楽しめる頭脳系の作業を見つけるしかありません。
読書(漫画などでは酔う前からパラパラ読めてしまうため不向き。ある程度読むのに負荷があるもの)や簡単なパズル(簡単すぎるのは不向き。自分の得意なレベルより少し簡単なものを数多く解くようなスタイルが良い)が個人的にはお勧めです。
酔うペースを均等にする
酒量を計る難しさの一つに、最初は酔っていないけれど後から急に酔いが回る、ということが挙げられます。ビールを飲んでいると顕著なのですが、飲み始めたばかりの時点では全然酔っていなかったのに、後になって急に酔いが回るケースがあります。
気持ちよく飲める時速を計りたいときには特に「平均的に酔いが回っていく」状況が望ましいですよね。
平均的に酔いが回るようにするコツは、実は簡単です。
温かいお酒を飲むことです。
アルコールは体温程度の温かさになって、初めて体内に摂取されると言われています。最初からビールやハイボールなどでお酒を飲むと、ドリンクが胃の中にたまっているときに、なかなか体温くらいまで温度が上がりません。上がり始めても、おかわりのドリンクや冷たい食べ物などで冷めていきますからね。
で、お酒を飲むペースが落ち着いたときに身体の中のアルコールが温まり、その分、一気に酔いが回るというメカニズムです。
ペースを計る際には、温かいお酒でスタートし、食べるものも温かいものから始めます。こうすることで最初からアルコールが体内に吸収されるため、徐々に酔いを回せるようになるのです。
温かいお酒といえば、日本酒のお燗、焼酎やウイスキーのお湯割り、ホットワイン・ホットウイスキー・ホットラム、そのほか様々なホットカクテルが挙げられます。
ただ、ホットカクテルは純アルコール量の算出が難しいため、日本酒や何かのお湯割りがお勧め。どうしてもビールが良い!という方であれば、黒ビールを温めて砂糖やシナモンで味を調えた「ホットスタウト」などもお勧めですよ。
これらのお酒であれば、酔いが回るまでの純アルコール量を計算できるでしょう。
自宅で計るか、外で計るか
酒量を計る場所は自宅で独り飲みをするのが良いか、外のお店で飲むのか良いか、どちらでしょうか。
個人的には外出して、お店で静かに飲みながら計測するのが確実性が高いかなと思っています。自宅で飲むと、油断して酒量を制御しきれない可能性があるから、というのが理由です。
行きつけのお店があるのでしたら、酒量を計りたいとお店の方に告げることで飲む量を調整してみると良いでしょう。飲み屋さんとして客観的に、節度を持って飲めている状態かどうか見てもらえるかもしれません。
お客さんに干渉しないタイプの飲食店であれば、カウンターで読書やパズルを解きながら計算しやすいお酒を飲むと確認しやすいですね。
お店で飲む場合には注意が一点。
こういう感じでお酒を「グラス」で頼んでしまいますと、そのグラスの容量が分らないため、酒量はとても計りづらくなります。こうしたお酒の「一杯」は、漠然としたお店のルールはあるものの、お店のスタッフがそのときに注ぐ量は一定にならないので、とても計算がしにくいものです。
日本酒なら1合、ビールなら瓶などで、純アルコール量を確認しやすいものを注文しましょう。
酒量を知って失敗を無くそう
現代は様々な活動の中に「ハラスメント」が存在し、お酒を飲む際にも「アルコールハラスメント=アルハラ」という言葉が存在します。本稿では細かい説明をしませんが、自分が酔い過ぎなければ、酔いが回ったが故のアルハラ防止に繋がります。
節度を持ち楽しく飲める人は、ふたたびお酒に誘われる可能性も高くなるもの。そういう場で得られる貴重な情報もあるかもしれず、結局の所、どうせ飲むなら上手に飲める方が良いに決まっているのです。
一度自分の酒量を計れば、病気などで体質が変わらない限り、長く活用できる情報になるものです。
お酒を上手に飲めるようになりたい、と思っている方は、ぜひ一度、計測してみて頂きたいです。
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