見出し画像

対面営業できないのにSNS発信ノウハウがない…外部人材活用で生まれた予想外の成果とは? ~メディコムジャパン(神戸市)

カナダのモントリオールを本社とし、マスク等の感染予防品・ケア製品の製造販売を行うヘルスケア企業のメディコムジャパン。コロナ禍で対面営業ができず、代替手段を検討する中で外部発信に目をつけ、その分野で専門スキルを持つ副業兼業人材の活用をスタートされました。また、製品の供給を安定させるため、さらなる人材活用に踏み切り、物流調達システムの改革を進められました。

今回は、副業兼業人材活用により社内DXを強力推進されたメディコムジャパン様のお取り組みについて、社長である藤原 慎一様に話をお伺いしました。

コロナに勝ち抜くため、外部人材のノウハウが必要だった

—— 副業・兼業人材を活用したきっかけについて教えてください。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、対面営業ができない状態になりました。コロナ以前は病院や歯医者、ディーラーに直接訪問することでプロモーションをしたり、製品を買っていただいたりしていました。対面営業に取って代わる方法を模索し、ソフトウェアやハードウェアなどを整えましたが、お客様とやりとりする方法やSNSで情報発信するノウハウが社内にありませんでした。

また、海外から仕入れている感染予防製品をより効率的にお届けするために、社内の物流調達システムを見直す必要がありました。

これらの理由から、マーケティング・ブランディングとロジスティクスのそれぞれの分野で外部人材の力を借りることに決めました。

—— どのような人材を求めていましたか?

コロナ禍がどれだけ長期化するのかわからなかったので、中長期で一緒にプロジェクトを進められる方を求めました。リーダーまたはプロジェクトマネージャーのような役割で、指揮を取りながら社内のスタッフに直接教えて頂きたいと思っていました。最終的には社内のメンバーが実際に動けるような形にすることが理想でした。

加えて、弊社は外資系企業なので、外資のカルチャーを理解されている方を探しました。外資ならではの商習慣や本部が求めてくること、答えを出すまでのプロセスなど、外資で働いた経験のある方であれば、日本企業との違いをご存知だと思ったのが理由です。さらに私たちは日本における販売会社なので、日本企業で働いた経験も求めました。最終的に選ばせていただいたのは外資でも日本企業でも働いた経験があり、ぞれぞれの分野で専門的なノウハウや知見を持つエキスパートの方々でした。

SNSでの外部発信により売上増、予想外の効果も

—— マーケティング・ブランディングについて、どのようにプロジェクトを進めていきましたか?

メディカル、レンタル、コンシューマー、eコマースの4つの営業部から若手を1名ずつプロジェクトメンバーとしてアサインしました。人材の方には定期的に来て頂いたりZoom会議を利用したりしながら、月に3回ほどミーティングを行い、マーケティング基礎やSNS活用などを教わりながら、実務で実践的に取り組むことにしました。

営業面では、対面営業の代わりに、ZoomやTeamsを使った商談を行い、オンラインでの資料の見せ方や敷居が高い相手へのアプローチ方法まで細かく教わりました。

外部への発信では、病院や歯医者、ドラッグストアやコンビニなどに向けて情報発信しました。普通のマスクと医療用マスクの違いなどを動画を作ってPRしたり、マスクの販売場所や感染管理についての情報提供も行ったりしました。ホームページも充実させ、Facebook、Instagram、Twitter、LINEなどのSNSもリンクさせました。

また、ブランディングで学んだことを基に、商品開発を行い、製品ラインナップも充実させていきました。特に反響があったのは「ポケットモンスター」の医療用マスクで、プロモーションビデオも作成しPRを行いました。

—— 実際にどのような成果がありましたか?

営業活動ができなくても外部発信することで、問い合わせが格段に増えました。販売店の数も増え、営業部によっては売上が3〜4倍まで伸びました。普段はディーラーを通しての販売なので、直接的に外部に発信するという試みは初めてでしたが、メディコムという名前を知って頂いて、「お取引しましょう」とか「製品を仕入れたい」というお声を数多く頂くようにもなりました。

社内システムを外部人材のノウハウとすり合わせ、課題が明確に

—— ロジスティクスのプロジェクトはどのように進めましたか?

コロナが長期化するに従い、しっかりと供給体制を整える必要が出てきました。海外から製品を仕入れているので、安定してお届けするために、社内システムやルールの見直しも含めて、より効率的な調達ノウハウを知りたいと思っていました。そのため、大手メーカーで物流や海外調達の経験がある方に来ていただいて、半年間、Zoomで月3回ほどミーティングを行いながら取り組みを進めました。

まずは仕事のやり方やワークフローをひととおりチェックしてもらい、改善点がないか、新たな方法がないかディスカッションしながら進めました。

需要予測については、市況を読みながら予測を立てるなど、ノウハウのレクチャーを受けました。発注方法についてはプロセスを再チェックし、停滞しているところやボトルネックがないかを見てもらい、改善案を提案していただきました。

また、海外の支店とも問題を共有するために、一緒に複数回ミーティングを行い、ヒアリングも実施してもらいました。このような取り組みを通じて、海外の支店や工場と、数字を使った密なコミュニケーションを行うことで発注精度が上がることがわかりました。

さらに、人材の補充について提案を受けたので、リーダーのポジションを新設し、社内体制も変更しました。

—— 成果はありましたか?

今までは我流だったので正しい方法がわかりませんでしたが、人材の持っているノウハウと現状のすり合わせを行うことで、新たなルールを整備することができました。今後は人材からのアドバイスを基に、さらに改善を進めていこうと考えています。今回の取り組みで、最も大きな成果はこれまで見えなかった課題が明確になったことだと考えています。

——2件の人材活用をした感想をお聞かせください。また、今から人材活用しようと思っている企業にアドバイスをお願いします。

外部で活躍されている方と一緒にお仕事することは、会社にとって非常にプラスになると感じました。採用は会社にとってはリスクもあるので、例え一定期間であっても、採用することなく経験豊富なエキスパートの方からノウハウを学べるというのは大きなメリットだと思います。また、今回は大手企業に勤めながら、他の企業でも経験を重ねている人材に来ていただいたのですが、一緒に取り組む中で、多くの経験に裏打ちされたスキルの高さを実感しました。

新規事業開発や、既存事業のテコ入れに際しては、副業兼業人材を活用してみることを是非おすすめします。

—— 副業兼業人材活用による社内DX推進により、コロナ禍という非常に厳しい状況の中でも、新たな営業体制と物流調達体制を構築されたというお話にはとても勇気づけられます。素敵なお話をありがとうございました!

本記事は、神戸市の「令和3年度 神戸市内中小事業の副業・兼業人材活用推進事業」の一環で、人材マッチングがなされた事例です。

事業詳細についてはこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?