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10名以上の副業・兼業ハイスペック人材を活用し、創業初期の事業拡大を乗り越えた軌跡 ~Social Bridge株式会社

フリーランスとフリーランスを活用する企業のさらなる成長や活躍を目指し、今年も開催される「フリーランスパートナーシップアワード2022」。

本記事は、活用企業部門1次審査を通過したファイナリスト、Social Bridge株式会社代表の宋 浩典さんの事例をご紹介します。

一人会社として2019年に創業し、海外企業の日本進出のサポートや成長支援を行う宋さん。正社員雇用を行う体力がまだない創業フェーズで選択したのがフリーランス活用でした。データ分析、ブランディング、企画、デザインなどの分野で計12名のプロフェッショナルのコミュニティを形成し、試行錯誤しながらも事業拡大を遂げています。

そこで今回は、副業・兼業人材との関係構築や仕事の関わり方の工夫などを通じて、どのように成果を出したのかをご紹介します。

最後に、投票フォームもありますので、取り組みへの共感や参考になった場合は投票をお願いします。

難易度の高いプロジェクトを副業・兼業人材で担っている理由

—— まずは御社の事業内容を教えてください。

私たちは「ボーダレスな次世代を創造する」というビジョンを掲げ、外資系スタートアップ企業の日本進出やベンチャー企業の成長支援をBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の形で行っています。主に事業開発や営業、情報システムのサポートなど、お客様の1部門や1ファンクションに入り、プロジェクトを担っているのが特徴です。

—— 宋さんが一人で会社を運営されていると伺っているのですが、どのような経緯で会社を設立したのかを教えてください。

私は9年間ソフトバンクで働いていました。キャリアの始まりは携帯電話の代理店営業をし、現場の皆さんとスマートフォンの販売から始め、キャンペーンで一緒にティッシュを配ってお客様を捕まえるようなところからスタートしました。その後、アメリカ企業の買収したプロジェクトに参加する米国赴任をきっかけに、グループ企業の投資先企業の外資系企業の日本進出のサポート事業に3年半従事することになったのです。

私自身が在日韓国人4世ということもあり「日本と世界の架け橋になる」ような事業をしたいと考えていました。海外で培った経験やノウハウをグローバルなビジネスで活かして、始めたのがこの会社です。事業コンセプトは「社会の架け橋になる」こと。Social Bridgeという社名の由来もそこからきています。

現在、創業から3年半経って1名を雇用しましたが、私もプレイヤーとしてお客様のプロジェクトに入っています。しかし、ここまで成長してこられたのは、業務委託契約で事業をサポートしてくれるスペシャリスト達の存在あってこそです。

—— なぜ業務委託契約の人材を採用しているのか、その背景を教えてください。

案件によっては専門的な知識やノウハウが必要だったことと、私自身が目の前の業務に追われてしまうと、緊急ではないけれども重要なことに時間を捻出できないという課題がありました。ただ、事業には波がありますし、創業間もない企業では高い専門知識の正社員登用は難易度が高く、コストも大きなリスクになるため、まずは業務委託でサポートしてくれる仲間を集めました。

時代の後押しもあり副業や兼業で関われる人材が増えているため、フルコミットの雇用ではなく、各人が得意な領域で案件にフレキシブルに携わる体制が構築しやすくなっていると感じます。

—— 副業・兼業人材に求めるスキルや経験値には幅があると思いますが、御社の場合はどのような人材が手伝ってくれているのでしょうか?

現在、業務委託契約は12名いて、データ分析、コミュニティ運営、ブランディング、企画、マーケティング、ディレクション、デザイン、HP・SNS運用など多岐にわたります。

スキルレベルはそれぞれの分野によって指標が違うので一言で言うのは難しいのですが、わかりやすいカテゴリーでいうと年収1,000万円レベルの方や、自分で会社を担っている経営者の方、グローバル企業の営業戦略を担当されている方などにもお手伝いいただいています。

そのようなハイスペックな人材は、お客様企業でも採用がなかなか難しく、私たちもそのような方々をフルタイムで採用できるかというと、知名度的にも資金的にもかなり厳しいのです。そして、なかなか思い切れないのには理由があります。

例えば、年収1000万円の方を採用すると、社保などを考えると月に150万円ほど人件費がかかります。案件が安定的に常にあればいいのですが、1ヶ月でも仕事に空白期間があると赤字になるリスクもあり、特に創業時は業務委託契約のメンバーと共に事業を小さく始めて少しずつ大きくしていく戦略をとったのです。

コミュニティマネージャーを登用しチームビルディングを実施

副業・兼業人材で構成されるSocial Bridgeの社内会議

—— ハイスペックな副業・兼業人材と仕事をしていく上で工夫している点はありますか?

現在、「宋と12名の仲間たち」のような1対12の関係を解消することを意識しています。工夫のひとつとして、私が深く入りこんでいる案件を他の人にも深く関わっていただくアプローチを試しています。そうすると、1対12ではなく1対5であったり1対3であったりといった小さなチームの関係が築けるため、自然とメンバー同士が関わる機会が増えると考えましたが、実際そうなってきています。

また、基本の勤務形態はフルリモートなので、コミュニケーション手法としてSlackの活用に加え、週単位でのZoomでの定例ミーティングを行っています。さらに、特徴的な方法で言うと、ボイスチャットのツールのoVice(オヴィス)を活用し、インターネット上で立ち話や雑談をする時間を週に30分くらい設け、完全に任意で参加者を募っています。多いときは5人くらい、少ないときは誰も来ないこともあるのですが、今のところ導入して良かったと感じています。

雑談コミュニケーションにoViceを活用

私がスケジュールを詰めすぎるタイプなので、メンバーが「ちょっと話を聞きたくても、宗さんは忙しそうで……」と思わせてしまうのは良くないですからね。また、私にとっても、他愛もない雑談をすることで、業務上では気付かなかったメンバーの新たな一面が見られるようになったのも効果の1つです。

—— チームビルディングに取り組まれているのですね!

創業フェーズなので、正直まだ試行錯誤です。他にも、新たな試みとして、社内で「Social Village」という名の副業・兼業人材コミュニティの運営をはじめました。これは、チームビルディングやファシリテートが得意な業務委託の方をコミュニティマネージャーとして登用し、私と共に「共同村長」となりチームを活性化する活動です。

具体的には、3ヶ月に1回メンバーが集まるオンライン会を実施、「委託メンバーの仕事をSocial Bridgeがどう伸ばせるか?」をメンバーで考える機会を設けるなど、1つの「村」のような活動で、運営をはじめてから、メンバー間のSlackでの発言量が増え、コミュニケーションの解像度は大きく変わったと思います。

—— そういった外部人材の社内コミュニティを構築していく過程で、宋さんご自身が意識していることはありますか?

自分の苦手なところを認識し、得意な人にその役割をお願いするようにしています。自分が得意なことができる人を増やそうと、金太郎飴のように同じ人材を採用してしまうと「なんでこれができないの?」と思ってしまうことがありますよね。しかし、「自分が苦手な部分をやっていただける」と認識することで、自然と感謝の気持ちが溢れてきます。

メンバーには自分の苦手なことを開示し、明確に伝えることを常に意識することで、良好な関係が築けています。メンバーの中には、もともと友達だった方もいるので、仕事が原因で人間関係が悪くなりたくないからこそ、チームの雰囲気づくりは意識しています。

良好な人間関係が、事業の好循環を生む

—— 創業から3年経ち、副業・兼業人材を採用して得られた成果を教えてください。

経営面で大きな成果がありました。具体的には、サポートさせていただいている企業が、創業時の1社からはじまり、3年経った現在は10社に増えたことです。各メンバーが個々のスキルを活用して業務に携わっているため、企業からご依頼いただいた案件を安心して任せることができ、社内業務もスムーズに回るようになったことで、新規案件の獲得にも繋がりました。

私は東京で創業し娘が生まれたタイミングで実家のある神戸に拠点を移したので、東京でお世話になったお客様との仕事を終了したという経緯があり、創業から今期まで右肩上がりというわけではありません。それでも、ハイスペックなスキルを持つ副業・兼業人材と協力しながら事業を拡大できたのは1つの成果です。

——最後に、宋さんの今後の展望を教えてください。

既存のお客様やメンバーと関係性を長く続けることを一番大事にしています。新規案件の獲得は既存案件より一般的に5倍大変だと言われています。現在一緒に働いているメンバーも他に所属している企業があったり、自分で事業を担っていたりするので、ただお仕事を渡す関係では長続きしないと思っています。

そのためには、私自身もプレイヤーではなく、マネジメントや、プロジェクトの調整役へシフトしていき始めています。現在は、事業拡大のための土台作りから事業にも良い循環が生まれています。1つの村のようにメンバー同士が気軽にコミュニケーションを取れたり、仕事でシナジーが生まれたりと、良好な関係を構築することが中長期のお付き合いに繋げていくことを目標にしています。

Social Bridge代表の宋 浩典さん

—— 創業時の事業拡大フェーズを、外部のハイスペック人材のチームビルディングを意識しながら乗り越えていることが伝わってきた事例でした。本日は素敵なお話をありがとうございました。
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この取り組みへの共感や参考になった場合は、「フリーランスパートナーシップアワード2022」ファイナリストへの投票もお願いします。

フリーランスパートナーシップアワードとは

プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会主催。エントリーは、「活用企業部門」と「エージェント/コーディネーター部門(個人)」に分かれています。10月14日(金)~11月1日(火)のWeb投票期間を経て、アワード受賞者が決まります。

活用企業部門:雇用形態や勤務場所にとらわれずに多様な人材をチームの一員として招き入れることで事業成長に導いた企業

エージェント/コーディネーター部門(個人):フリーランスのチカラが最大限に活かせる環境を見出しマッチングを支援した企業と、その担当者

▽活用企業部門 ファイナリスト一覧

・太美工芸株式会社
   https://note.com/frepara/n/n1bed014e19ff

・株式会社林田産業
   https://note.com/frepara/n/ne512d669c7d7

▽エージェント部門(個人) ファイナリスト一覧

・川嶌陽子さん(エッセンス株式会社) 
   https://note.com/frepara/n/nb1b54392bb49

・鈴木太陽さん(株式会社サーキュレーション)
   https://note.com/frepara/n/n50e57417fb98

・南部 晶洋さん(株式会社コーナー)
   https://note.com/frepara/n/nd4d586fc965b




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