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自身も1人のプロ人材として、人材仲介にとどまらない価値提供で圧倒的な信頼を獲得 ~株式会社コーナー 南部晶洋さん

フリーランスとフリーランスを活用する企業のさらなる成長や活躍を目指し、今年も開催される「フリーランスパートナーシップアワード2022」。

本記事は、エージェント部門1次審査を通過したファイナリスト、株式会社コーナーの南部晶洋さんの事例をご紹介します。

HR領域のパラレルキャリア人材に特化したシェアリングサービス、コーナーで活躍する南部さん。シミックソリューションズ株式会社からの相談を受け、経験豊富なフリーランス人事を集めた採用チームを組成。採用難易度が高く、年間で数名程度の採用しかできていなかった専門職種において約30名の採用を実現しました。

取材時は、南部さんのことを「他の人材会社の人と全く違う」と推す、シミックソリューションズ 人財部長の渡辺健二さんにご同席いただき、お話を伺いました。

最後に、投票フォームもありますので、取り組みへの共感や参考になった場合は投票をお願いします。

採用をドライブさせるために、外部人材の活用を検討

—— まずはコーナーさんの事業内容を教えてください。

南部さん:採用、制度設計、組織・人材開発など幅広く企業の人事周りにおける事業課題を解決する、プロフェッショナル人事シェアリングサービスを展開しています。数千人の人事プロフェッショナル人材が登録しており、課題解決を実働支援型で行えるのが特徴です。

顧客企業に対しては即戦力となる人事のプロを、フリーランスの方に対しては成長機会を提供することで、新しい組織の作り方や、個人の新しい働き方の一つのスタンダードを作っていきたいと考えています。

—— 今回は、南部さんが担当されたシミックソリューションズの渡辺さんにもご同席いただいています。まずは御社のご紹介をお願いできますでしょうか。

渡辺さん:弊社は元々、製薬会社の医薬品開発業務を支援する、CRO(Contract Research Organization:開発業務受託機関)という業態で事業をスタートしました。現在では開発業務だけでなく、製造業務の受託やMRの派遣など、製薬企業の持つほぼ全てのバリューチェーンにおけるサポートをさせていただいております。

シミックグループ全体で7,800人ほどの規模なのですが、グループの中に複数の事業会社があります。シミックソリューションズは、そうしたグループ関連企業のバックオフィス機能のシェアードサービスを担っています。

製薬企業のバリューチェーン全体の支援で事業の成長拡大を続けるシミックグループ

—— コーナーさんと出会ったきっかけは、どういったことだったのでしょうか。

渡辺さん:昨年の10月に私が現職に就任したタイミングで、グループの中核を担うシミック株式会社の採用機能を強化するミッションがありました。
採用を強化するにあたっては、相応の力量を兼ね備えたリクルーターが必要になる。一方で募集すればすぐに採用できるわけでもなく、また採用担当者をやみくもに増員する訳にもいかず、結局今いる人員のバランスを動かすだけでは抜本的な変化を生むことにもなり得ない。いわゆる「人事あるある」かと思いますが。(笑)
そんな時にコーナーさんの噂を聞いて、社外の経験豊富な採用リクルーターの方々が、当社の採用活動にコミットしてくれるというのは非常に魅力的だなと感じました。

どのような人員構成でどのような採用体制をとるのがベストなのか、ゼロベースで南部さんにご相談させていただきました。

抽象度の高い人材要件から、背景を汲みとりマッチする人材を提案

—— 具体的にはどのような提案をされたんでしょうか。

南部さん:先ほど渡辺さんからお話があったとおり、「シミック株式会社を中心に採用にドライブをかけたい」「各会社や事業部に専任リクルーターを置きたい」という2点がニーズとしてあると認識していました。ただ、世の中の採用マーケットの変化が加速している中で、単にこれまでの延長線上で採用活動をこなす頭数を増やすだけでは厳しいと判断し、どうやって採用していくのかから考える戦略設計のプロを入れた方が機能すると考えました。

そこで、まずはシミック株式会社に特化して、採用戦略のビックピクチャーを描けるディレクターと、採用実務を担うリクルーターを複数名配置するチーム体制をご提案いたしました。

渡辺さん:外部委託の方に個人で入っていただくのではなく、丸ごと採用チームを作ってしまうというご提案に、非常に面白そう、ぜひトライしてみたいと思いました。

—— どのような方に参画いただいたのでしょうか。

南部さん:戦略設計のディレクターとして、澤上さんという40代の男性の方に入っていただきました。元々大手の外資系IT企業でエンジニアから人事に異動され、その後マーケティング関連企業で人事全般を経験されたのち、独立されたフリーランスの人事プロフェッショナルです。

メディカル領域の業界経験があったわけではありませんが、むしろIT業界のような採用競争の激しい戦場で経験を積んできた方をディレクターに置いた方が良いのではないかということで、一番フィットした澤上さんを推薦しました。

もう1名同時に参画したリクルーター役の方は、30代の男性です。看護師や薬剤師の人材紹介業の経験があり、メディカルの知識そのものではないですが、周辺知識はある。そして何より、とにかく行動力がある方で、当時のシミック様は前に前に物事を進めてかないといけないフェーズだったので、そういったタイプの方がマッチするのではということでアサインさせていただきました。少し時間をおいて、IT業界出身のリクルーターの方など2名に参画してもらいました。

—— 業界はピンポイントに合致してるわけではないけれど、競争が激しい中でどう戦い抜くかを考えてこられた経験を重視されたということですね。 

渡辺さん:私からのオーダーは、「センスさえよい方であれば、あとは特に気にしません」というものでした。いつもオーダーがざっくりしてるんで、エージェントさんを困らせてしまうんですが。経験業界にこだわりはなく、とにかく今の状況を見て、何のボタンを押せば良いかが分かる方を求めていたんですよね。

でも南部さんにご紹介いただいた候補者の方とお会いして、マッチング精度の高さに驚きました。通常、人事担当者の採用をやっていると、エージェントさんから上がってくる候補者に10人会って、その中に1人いい人がいるかいないかくらいの確度なんですが、南部さんにご紹介いただいた方は皆さんフィット感が高かったです。

—— 抽象的な依頼から、精度の高い人材提案に結びつけられた秘訣をお聞きしたいです。

南部さん:背景理解かなと私は思っています。企業様やチームが置かれている状況や課題を深く理解できると、どういう人材がフィットするか自然と浮かび上がってくるんですよね。そこを考えて、提案することが私たちの仕事の大きな価値の一つだと思っています。

渡辺さん:一般的な人材紹介会社の場合、こちらが指定した人材要件に対して経歴が合致する候補者を検索していくやり方が多いと思うんですが、南部さんとのやり取りの中では、こういう人が欲しいという人材要件やスペックではなく、我々の社内の状況を細かく聞いてもらいました。

相手が優秀な方の場合は、細かい要望や条件を伝えるよりも、「今こういう状況なんで何とかしてください」と言った方が話が早い、というのは私の持論なのですが、南部さんは弊社の課題や目指していることなど、上流の話がきちんとできる方だったので、信頼してお任せできました。

チームを影から支え、採用成功へと導く

——  参画いただいた方々には、具体的にどういったことをやっていただいたのでしょうか。

渡辺さん:まず第一は体制づくりだと考えていたので、戦略担当ディレクターの下についたリクルーターに、各事業本部に張り付いてそれぞれの本部長とコミュニケーションを取ってもらうことから始めました。

その上で、これまでの採用プロセスのどこに問題があって何を改善すれば良いのかを、ディレクターの方が洗い出してくれました。例えば、推すべきポイントがしっかり推せていない、面接が一方的に「評価をする」というスタイルになってしまって候補者への動機づけという意識が薄いなど、課題が見えてきました。そういった課題に対して、一つひとつ打ち手を考えて改善する、ということを地道にやっていきました。

今回はシミック株式会社でパイロット的に導入をしたかたちですが、今後、他のグループ会社にも展開していきたいと思っています。

—— 成果としてはいかがでしたか。

渡辺さん:CRA(臨床開発モニター)、PV(安全性情報担当)、やデータマネジメントといったポジションは採用難易度の高い職種ということもあり、コロナ禍という環境も相まって年間で数名程度の採用だったところ、南部さんに採用チームを作ってもらってからのたった5ヶ月間で、約30名の採用に至りました。

—— すごいですね!稼働されていたフリーランスの皆さんの実力も多分にあったと思うのですが、副業・兼業人材にコミットしてもらうためにはエージェントのサポートも必要です。そのあたり南部さんはどんな役割を担われたのでしょうか。

南部さん:澤上さんとは基本的に、週に一回以上コミュニケーションをとっていました。

私自身、人材業界が長いだけでなく、パーソルキャリア株式会社の採用責任者や複数社の企業で採用リードをやっていたこともあり、比較的リクルーティング領域については精通している方ではあるので、澤上さんと私とで、お互いに仮説を持ち寄り、壁打ちをするということを日々していました。それを渡辺さんやリクルーターのメンバーに提案し、コンセンサスをとって進める、といった流れです。

—— シミックさんからすると、戦略担当が2人ついてくれている感じですね!

南部さん:もちろんメインは澤上さんですけどね。私は澤上さんの壁打ちにつきあっていただけなので、裏方です。

あと、リクルーターの方に対しても、ちょっと悩んでそうな時や、前に進めづらそうな時は、こちらからこまめに声をかけて相談に乗るようにしていました。

渡辺さん:でも、それができるのは、本当にコーナーさんならではだと思っています。基本的に、エージェントの方の専門領域とプロ人材の方の専門領域が一致することって少ないと思うので、そもそも壁打ち相手になることはできないことが多いと思います。コーナーさんの場合、南部さん含め、エージェントの皆さん自身が人事領域の課題に対するプロであるっていうところは、とても良かったです。

—— どのくらいの頻度でコミュニケーションをとっていらっしゃったんですか。

南部さん:状況によって変えていました。例えば、モチベーションやリソース面で不安がありそうだと感じた時は、週に何回も連絡を取ることもありますし、大丈夫そうだと感じれば、しばらくお任せしていた時期もあります。

何かあった時に、ご本人からアラートをあげていただけるように、頼ってもらいやすい信頼関係を作ることは、稼働開始前から必ず意識しています。

話しやすい関係性を作るために大切なのは、こちらから自己開示をすることですね。できる限り相手との間に壁を作らず、今こちらが悩んでることもフラットに話します。それを繰り返すことで、自分も話していいんだなと思ってもらえるようになると思います。

南部さん(中央左)とコーナーの同僚たち

—— 副業・兼業人材のマネジメントは、場合によっては発注者側でやらないといけないケースもあって、それが大変だという方もいらっしゃいます。南部さんがサポートしてくれていた分、渡辺さんからすると採用チームのマネジメントコストが減って楽になるといったこともあったんでしょうか。

渡辺さん:そうですね。正直、私は何もしていないです。謙遜ではなく。南部さんがモチベーションや業務進捗面を丁寧にフォローしてくださったので、私はより大局の組織戦略を考えることや、環境作りに徹することができました。

例えば、澤上さんには採用の仕事をしていただいていましたが、社内で人的資本経営に関する課題が出てきた時に、ちょうど南部さんから、澤上さんが人的資本経営について勉強なさっているという話を聞いたんです。であれば、そちらも担っていただけるのでは?ということで南部さん経由で打診していただいたところ、ぜひやりたいですと言っていただいたので、新たなポストも用意させていただきました。

「外部委託だから、成果さえ出してくれれば良い」ということではなく、皆さんに気持ちよく、やりたい仕事をやってもらいたいという思いがあるんです。

—— そういう考え方を持ってくださっているクライアントさんとお仕事をするのは、 人材側は幸せだろうなと思います!

南部さん:私もよく活用企業様に対して、 タスクベースのやり取りではなくもっと上流の話をしましょう、とか、お互いの”Will”を確認し合うことでインサイダーになってもらうことがすごく大事です、といったお話をするんですけど、渡辺さんはまさにそれを体現されていると本当に思います。

日々の業務マネジメントは澤上さんが中心になってやっていただいていたので、渡辺さんには環境作りや意欲面の気遣いをしていただきました。そこはやはり成功の大きな要因だったと思います。

—— そのほか、渡辺さんから見て南部さんの良かった点、特に他の人材会社と違ったところがあれば教えていただけますか。

渡辺さん:南部さんとは、お互いに商売っ気や、腹の探り合いをカットしてストレートなコミュニケーションができたことで、信頼関係を前提にした無駄のないやり取りができた点で非常に良かったかなと思いますね。かつ、マッチングの目利きに関して非常に高い能力を持っていらっしゃるので、 端的に言うと「ハズレが来ない」んです。

そういった阿吽の呼吸のようなものは、時間の経過と共にできてきたと思います。コーナーさんとは「会社」対「会社」のような壁がなくて、一つのチームとして動いているという意識は常に持てていました。

—— 本当に素敵な関係性ですね!今回の採用チームの成功を足がかりに、さらなる展開もおありとのことですが、そちらについても教えてください。

シミックソリューションズ 人財部長の渡辺健二さん

渡辺さん:今回、採用業務で外部人材のチームを作り、成果につながったので、組織開発の領域でもお力を貸していただけないかと南部さんに相談させていただきました。自社の人事組織もレベルアップを図るべく採用や育成に取り組んではいますが、事業成長のスピードに追いつかないんです。

そして、ビジョン実現に向けて次の成長を検討していくにあたり、組織開発の企画ができる方を2名、ご紹介いただきました。人事戦略の一番肝となるところなので、本当に優秀な人だけ紹介してくださいとお伝えしたのですが、おかげで、普通に採用広告を出したのではなかなか採用できないような方に参画いただくことができました。

人事制度まわりやタレントマネジメント、私たちが一番コアと考えているカルチャーといった領域に関して、現在コアメンバーとして入っていただいています。活動自体はこれからというタイミングなので、今後が楽しみです。

—— 南部さん自身が、クライアントと同じ景色を見て、チームの一員として伴走することで、エージェントの枠を越え事業パートナーとしての価値発揮をされていることが伝わるインタビューでした。本日は素敵なお話をありがとうございました。

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この取り組みへの共感や参考になった場合は、「フリーランスパートナーシップアワード2022」ファイナリストへの投票もお願いします。

フリーランスパートナーシップアワードとは

プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会主催。エントリーは、「活用企業部門」と「エージェント/コーディネーター部門(個人)」に分かれています。10月14日(金)~11月1日(火)のWeb投票期間を経て、アワード受賞者が決まります。

活用企業部門:雇用形態や勤務場所にとらわれずに多様な人材をチームの一員として招き入れることで事業成長に導いた企業

エージェント/コーディネーター部門(個人):フリーランスのチカラが最大限に活かせる環境を見出しマッチングを支援した企業と、その担当者

▽活用企業部門 ファイナリスト一覧

・Social Bridge株式会社
   https://note.com/frepara/n/n9c47cd01a460

・太美工芸株式会社
   https://note.com/frepara/n/n1bed014e19ff

・株式会社林田産業
   https://note.com/frepara/n/ne512d669c7d7

▽エージェント部門(個人) ファイナリスト一覧

・川嶌陽子さん(エッセンス株式会社) 
   https://note.com/frepara/n/nb1b54392bb49

・鈴木太陽さん(株式会社サーキュレーション)
   https://note.com/frepara/n/n50e57417fb98


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