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社長以外全員フリーランスの8年目ヘルステックベンチャー。プロを支えるプロを投入して成長加速 ~ 株式会社アナムネ

フリーランスとフリーランスを活用する企業のさらなる成長や活躍を目指し、今年も開催される「フリーランスパートナーシップアワード2021」。

本記事は、活用企業部門1次審査を通過したファイナリスト、株式会社アナムネの事例をご紹介します。

同社の特徴は代表の菅原康之さん以外が皆、フリーランスで運営されていること。実は、昨年に続き2回目のエントリーです。プロを支えるプロを新規採用したことで成長を加速させたエピソードで、審査員の満場一致でファイナリストに再選出されました。

実際、どんな仕事の進め方や、仲間集めの工夫があるのか。今回はアナムネで働くフリーランスの竹内かのこさん、西藤愛さんにも同席いただき、同社の組織運営の秘訣に迫ります。

最後に、投票フォームもありますので、取り組みへの共感や参考になった場合は投票をお願いします。

正社員よりフリーランスを選ぶ理由

—— まずは御社の事業内容を教えてください。

菅原さん:「医師の知識と経験をすべての人に」をミッションに、日常生活から健康不安をなくし、やりたいことに120%集中できる世界を実現する事業を展開しています。

具体的には、「オンライン医療相談」「オンライン診療プラットフォーム」「医療情報特化検索メディア」など、医師の経験・知識をITの力によってプロダクト化し、多くの方々が使いこなせるように変換し提供する事業です。

アナムネ事業

アナムネのメディカルヘルスケアサービス

—— ご紹介ありがとうございます。社長の菅原さん以外、全員フリーランスというユニークな組織作りをされていますが、なぜそうしているのか教えてください。

菅原さん:現在29名のメンバーで運営している企業ですが、経営者の私以外のメンバー全員がフリーランスまたは副業人材として、業務委託で関わっています。

設立当初は、正社員として採用する資金がなかったことと、正社員としてコミットしてもらうには不確実性の高い事業体であったので、必然的にこういった人材で事業を進めることになったのですが……次第に今後もこの体制が良いという確信に変わり、現在に至ります。

—— 具体的にはどういったところが良いと感じたのでしょうか?

菅原さん:「専門性」「経験」「仕事への向き合い方「仕事の進め方」その全てで、正社員で応募してくる人材より、フリーランス人材の方が、能力が高く、事業の発展に大きく貢献してくれたのです。

加えて、最近では、デザイナー、エンジニア、営業といったスペシャリストのポジションだけではなく、社内の部門を横断的に支援することが求められるゼネラリストポジションについても、フリーランスに活躍していただき、組織が活性化していくことを実証できています。

—— プロを支えるプロがいるというのは非常に興味深いですね。どんな役割なのでしょうか。

菅原さん:ゼネラリスト領域のプロとして特に成果を出してくれている営業アシスタントの竹内さんと、プロジェクトマネージャーの西藤さんです。せっかく同席してもらっているので、2人からぜひ話してもらいましょう。

完全リモート業務で価値を出すゼネラリスト領域のプロ

—— お二人はどういったきっかけでアナムネに関わったのでしょうか?

竹内さん:私は直近約5年間は専業主婦でした。出産前は人材会社で法人営業をしていましたが、結婚・出産を経てブランクも長かったので、まさか自分がフリーランスでやっていけるなどと思ってはいなかったのが正直なところです。しかし、周りの主婦友達などを見て、そういう働き方も“あり”なんだと感じ、子どもが小学生になるタイミングに向けて、データ入力業務をやってみることにしたのがフリーランスとしての第一歩。そんなタイミングで、アナムネで働く知人から声をかけてもらったのがきっかけですね。

西藤さん:私もアナムネで働く知人に紹介されて、事業内容にとても共感したので、ぜひ手伝いたいと思いました。

—— アナムネではどんな業務をされているのでしょうか?

竹内さん:オンライン診療プラットフォームで連携する薬局との調整など、営業メンバーが新規開拓してきた後の業務のすべてを巻き取って対応しています。薬局連携は、契約後に各店舗へのテストFAXの実施や双方でのプレスリリース準備など、顧客との調整・事務手続きに加えて、社内の他部署との連携も必要になる煩雑なものが多く、滞ってしまいがちな領域でした。このフェーズを円滑に行い、事業の推進をサポートしています。

薬局連携チラシ

コクミン薬局のほか、ウェルシア、ツルハ、コスモスなど全国約2100店舗の薬局と店舗

菅原さん:竹内さんは、一貫して「誰かの仕事を支える」という観点で全社最適を見て、業務を行いパフォーマンスを出していける方だとわかりました。フルリモートであっても、私たちが求めているポジションを安心してお任せできています。

西藤さん:私は、裁量労働で契約するプロジェクトマネージャーとして、社内の部門間連携を伴うプロジェクト推進を担っています。例えば、新規サービスのリリースについて、コンセプトやターゲット顧客を決めた後、LP作成・営業に向けた資料準備・トライアルサービスの実施などをスケジュールに落として関係者の調整を行っています。会社がやりたいと思うことの目的と全体像をつかみ、人と人とをつなぐ役割を意識しています。

菅原さん:全員フリーランスのスペシャリストで構成されている組織なので、それぞれ思いやこだわりがあるし、リモートワークでほとんど対面しないこともあって、丁寧に意思疎通や進捗確認をフォローしていく必要があるんですね。元々は僕がそれをやろうとしていたのですが、なかなか手が回らないこともあって。サービス開発のプロジェクトマネジメント経験が豊富な西藤さんに入っていただくことにしました。

成果を出すためにオープンでストレスのない組織に

—— 竹内さんと西藤さんは、エンジニアや営業のようにいわゆる分かりやすい専門性を持ったスペシャリストとは異なると思いますが、どのような形で組織に貢献されていますか?

会社にとってはとても大きな成果がでて、成長スピードが加速してきています。

竹内さんの参画によって、まず、オンライン診療プラットフォームの薬局連携事業が一気に加速しました。スムーズに事業が動き始めた効果もあって、薬局・薬剤師向けのニュースメディアなどでも注目される存在になりつつあります。他にも、これまで私のみが全体像を把握している状態だった業務を、一緒に把握し進めていただいたことで、私が経営や対顧客向き合い業務など本来リソースを割くべき重要な活動に時間を割けるようになったことは、アナムネの成長にとって大きな成果でした。

西藤さんは組織の潤滑油として活躍しています。例えば、これまで私が現場のサービスの運用や展開を優先し、後回しになっていたプロジェクトが、想定したスケジュール通りに進み始め、今はリリースできる段階に到達しています。他にも、コーポレートサイトのリニューアルなど、私自身がディレクションしようと思いながら後手になっていた事項を推進していただいており、「やりたい!」と思ったことの実現スピードが着実に上がっています。ベンチャー企業にとって、スピード感は非常に重要なので、そこを担保していただける要として活躍いただけています。

Websiteリニューアル用ディスカッションシート

西藤さんによるコーポレートサイトリニューアルの改善提案

—— お二人はアナムネで働いてみてどう感じていますか?

竹内さん:何もかもが初めて尽くしでした。以前は、結婚後にはもうビジネスの世界に戻れない不安も抱えていましたが、アナムネではオンラインのツールを駆使しながら仕事に邁進できることに喜びを感じています。子育てしながら家庭と仕事の両立を考えると、自分には合っている働き方に出会えたと思っています。

また、他のメンバーには実際の場面で会えてはいませんが、アナムネをみんな好きなんだなと伝わってきますし、私もその想いでいます。

西藤さん:成果を出すために甘えや忖度がないところがいいですね。私は組織の人間関係の駆け引きや社内政治みたいなのが苦手でしたが、アナムネは目的別に人材がいて、菅原さんが常にフランクに接していますし、だいたい同世代のメンバーなので親近感も湧きますし、組織がオープンでストレスがありません。こんな会社に興味がある分野で役に立てて嬉しいですね。

—— 菅原さんもこんな風にメンバーに言ってもらえると嬉しいですよね。

本当に嬉しいですね。優秀な人に良い仕事をしてもらうには、アナムネを好きになってもらうこと、仕事やプロジェクトを好きになってもらうことが大事だと思っているので常に意識しています。

人間はいくらお金をもらっても、楽しくない仕事はしたくないですもんね。

採用はメンバーからの紹介制で、組織運営はうまくいく

—— フリーランスだけの組織を作る上で工夫している点はありますか?

菅原さん:今までは「権限をゆだねる」ことに注力をしていましたが、今回のお二人は「伴走してもらう」ことを意識しました。

お二人とも、率先して、業務理解・会社理解に向けた情報収集をして下さっていたものの、初めは、どのタイミングで、どういった動きをするのが一番良いのか?という優先順位に迷われているようだったからです。そこで、会社全体で現在どんな案件が動いているのか、どこに優先順位があるのかを経営者である私との週次の1on1で理解してもらうようにしたことで、お二人とも、自分が動くべき仕事を判断し、率先して動いていただけるようになりました。

他にも全社的に行っているのは……

・SaaSをフル活用したコミュニケーション
全員業務委託なので、SlackやZoom、G Suite、esaなどのSaaSをフル活用して、出社しなくても自宅からコミュニケーションができる体制を構築しています。一度も実際に会ったことがないメンバー同士もいますが、互いの役割もはっきりしているので、業務上接点がない相手とは顔と名前が一致していない人もいると思います(笑)。

・情報は全て共有
組織のビジョンや数字なども常に共有し、透明性のある経営を行っています。マネジメントメンバーのMTGも録画で共有し、後から誰でも見れる状態になっています。

・権限移譲
代表の私がいなくても回る組織を作っていくことを目指し、自分より能力が高い人をメンバーに入れ、積極的に仕事を任せています。

【Mtg画像】アナムネメンバー総会_2021年6月1日

オンライン全社総会の様子

—— 菅原さんとお二人のお話しぶりから、業務委託の受発注の関係ではなく、フラットで深い信頼関係があるように感じます。採用はどのようにしているのですか?

菅原さん:弊社の人材採用は原則、既存メンバーの紹介で加わっていただいていることです。これまでの経験上、その方が組織にフィットし長く貢献してくれており、竹内さん西藤さんも既存メンバーの紹介で採用しました。

このスタイルを継続している理由としては、全員複業しているフリーランスでフルリモートなので、何もしなければ関係性が希薄になりがちなところを、既に関係構築できているメンバーからの紹介制にすることで、本人が気軽に相談できて壁を乗り越えやすいからです。

ただ、代表の私に直接応募して来る人は採用していません。何かその人のことで問題が起きたときに、私が採用した人だからということで遠慮して誰も何も言わなくなるというのは良くないですからね。

竹内さん:アナムネは人を大事にしており、あらかじめ信用がある前提でゆるやかにつながっているところが他社とは違う点かもしれませんね。無理に組織づくりをしなくても、自然と良い関係ができていると感じます。

—— 菅原さんの組織作りや仕事に対する考え方がとても素敵ですね。本日は素敵なお話をありがとうございました。

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この取り組みに共感いただけた、参考になったという方は、他の「フリーランスパートナーシップアワード2021」ファイナリストの記事もご覧ください。そして、ぜひ大賞決定の投票もお願いします!

■フリーランスパートナーシップアワードとは
プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が、フリーランスおよびフリーランス活用企業の更なる成長・活躍と、マッチングサービス業界の健全な発展を目的に開催しています。
5万4千人を超えるフリーランス協会会員・フォロワーに、未来に繋がる良い事例をWEB投票で選んでいただき、最も得票数の多かったファイナリストをアワード対象者として表彰します!
最終結果発表・授賞式は、11月1日(月)18:00-19:00にオンライン配信。ファイナリストが勢ぞろいするトークセッションもお届けしますので、ぜひご視聴ください!
▽活用企業部門:雇用形態や勤務場所にとらわれずに多様な人材をチームの一員として招き入れることで事業成長に導いた企業
▽エージェント部門(個人):フリーランスのチカラが最大限に活かせる環境を見出し、マッチングを支援したマッチング企業の担当者
※投票は1人につき1票となります。

▽活用企業部門 ファイナリスト一覧
・神戸市
 https://note.com/frepara/n/n81ea6ee0ac11
・山川醸造株式会社
 https://note.com/frepara/n/n18a59c03e0a8

▽エージェント部門(個人) ファイナリスト一覧
・中谷香織さん(エッセンス株式会社)
 https://note.com/frepara/n/ne9b7dbc662e9
・中西亮太さん(株式会社サーキュレーション)
 https://note.com/frepara/n/n8acb89736bc9
・光宗拓哉さん(レバテック株式会社)
 https://note.com/frepara/n/n394091fc7120


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