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キャリアの大三角形を完成させ、 自分を「レアキャラ化」しよう

フリーランスにとって自分の価値を高めることはとても大切です。
「あなたにお願いしたい」「あなたと仕事がしたい」と言われなければ次の仕事に繋がっていきません。
ではどうやって自分の価値を高めていけばよいのか。

今回オススメしたいのは藤原和博さんが書かれた『45歳の教科書』(ちくま文庫)です。

藤原和博さんは株式会社リクルートに入社しビジネスマンとして活躍後、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務められた方です。
また橋下大阪府知事特別顧問、武雄市特別顧問、奈良市立一条高校校長も務め、現在は講演、執筆等、幅広く活動されています。

この本は「迷える世代」と言われる40代に向けて書かれた本です。
30代後半から50代にかけては、焦燥感や不安感に駆られ心が不安定になる時期だと言われています。これを「ミッドライフクライシス(中年の危機)」と呼びます。
40代は、そのちょうどド真ん中。迷える世代と言われる所以です。

「このままの人生でいいのだろうか。」
「この先、自分は社会で通用しなくなるんじゃないか。」
「本当の友達ってどこにいるんだろう。」

このように自分の仕事や生き方に自信がなくなったり、漠然と将来について悩むことが多くなる時期なのです。

この本はそんな悩み多き40代にもう一度自信や自己肯定感を取り戻すお手伝いをしてくれる本です。

まだ40代になっていない方には来るべき40代に向けて。
いまちょうど40代の方はキャリアをさらに充実させるために。
既に40代を過ぎた方には今後さらに豊かな人生を送るために。

40代~50代のうちにキャリアの大三角形をつくる

豊かな人生を送るために、40代から50代にかけて「キャリアの大三角形」を作ることが大切だと書いてあります。
「キャリアの大三角形」を作っておくことで、60代以降、「自分がさらに伸ばしたいキャリアの分野」で「自分に合う仕事」を選ぶことができるようになるそうです。つまり、自分のやりたい分野で自分のやりたい仕事ができるようになる、ということです。

「キャリアの大三角形」とは何かについて簡単に説明したいと思います。「キャリアの大三角形」の基本的な考え方は、自分の3つのキャリアを繋ぎ合わせて(掛け合わせて)三角形を描く、というものです。

まず20代の5年から10年で、ある分野の仕事をマスターします。1つの仕事をマスターするのに、一般的には1万時間かかると言われています。例えば営業でも人事でも経理でも、1万時間ほど取り組めば、100人に1人くらいの希少性が得られることになります。これが1つ目の点、つまり三角形の基点です。

次の5年から10年で、違う分野の仕事をマスターします。ここでも100人に1人の希少性を手に入れたら、100分の1×100分の1=1万分の1となり、「1万人に1人」の希少性を確保できたことになります。これが2つ目の点となり三角形の底辺、つまり生きていくための下地が決まったことになります。

そして40代から50代にかけて、三角形の最後の点、3つ目の点を作ります。ここでも100人に1人の希少性を得られれば、「100万人に1人」の存在になれます。ちなみに「100万人に1人」とはオリンピックのメダリスト級の希少性です。)

三角形の面積が自分の希少性を意味します。そして面積が大きければ大きいほど希少性が高いということになります。

40代50代までに三角形を完成させることができたら、今度はその三角形に高さをつけて3D化、立体化していきます。これが60代以降です。
本には「ここで立ち上がった立体が、自分の人生のクレジット(信頼や共感の総量)で、自分が生きる上で自由に活動できる領域、人生の自由度を表す。」と書いてあります。

100年人生と言われ、生涯現役を目標にしている方も多いと思います。40代50代までにキャリアの第三角形を作り希少性を高めておくことで、60代以降、自分のやりたい仕事を自由に選ぶことができるようになるのです。

3つ目の点を踏み出すためのヒント

問題は、40代50代で三角形の3つ目の点を見つけることがなかなか難しいということです。なぜなら、若いころとは違って体力も衰え、新しいことに挑戦する気力が湧いてこないことが多いからです。新しいことにチャレンジして失敗するより現状維持でいい、そう思ってしまう人も多いのです。
しかし現状維持で成長実感を感じられないまま、そのあと何十年も過ごすことはとても残念ですし、もったいないことだと思います。

本には「『3歩目』を踏み出すにあたって一発必中を目指す必要はない。」「3歩目を決めるには試行錯誤があっていい。」と書いてあります。藤原さん自身、ビジネスマンとして1歩目2歩目の足場を固めたあと、公教育の分野へと3歩目を踏み出すまでには、数年間の試行錯誤があったそうです。

では具体的にどうやって3歩目、3つ目の点を見つけたらよいのでしょうか。

本には「バスケットボールの『ピボット』のように試しに片足を踏み出してみると良い。」と書いてありました。「失敗してはいけない」と構えすぎずにとにかく動き続け、興味の範囲を広げていくことでおぼろげだった3歩目、3つ目がクリアになってくることもあるそうです。

もしそれでもどうしたらよいのか分からない場合には「運動エネルギーの履歴書」を作成すると良いそうです。
一般的な履歴書は「位置エネルギー型(Be)」、つまり「○○会社 ○○部 課長」など、どんな部署にどんな役職でいたかを記したものです。一方、「運動エネルギー型(Do)」とは「○○を作った」「○○を解決した」など自分がどんなことをしてきたかを記したものです。つまり「自分の行動実績」の履歴書です。

「『運動エネルギー型の履歴書』を書くことで今後自分がどこに力を入れるべきか、深めるべきか、エネルギーの矢を放つべき方向性が現実感をもって見えてくる。」と書いてあります。つまり自分のキャリアを行動レベルで客観視することで、自分のキャリアに足りないところ、削ぎ落すべきところなどが見え、3つ目の点をどこにおけばよいかが自ずと見えてくるのです。

私の場合、1つ目の点は人事です。いまも継続して人事業務をやっています。
2つ目はキャリアカウンセラー。このお仕事はそろそろ5年を経過します。
100分の1×100分の1=1万人に1人の存在なれているかと言われると自信をもって返事ができませんが、それでもこれから3つ目の点を探してみたいなと思っています。「運動エネルギー型履歴書」を作成してみようと思っています。

本の最後に為末大さんと藤原和博さんの対談が載っていました。その対談の最後の言葉がとても印象的でした。

為末さん「なんでもいいからやっていけってことですね。」
藤原さん「そうです。でも楽しくね。Play for fun!」

「Play for fun!」
私も含めて大人になると、この「fun」の部分が欠けてしまうことが多いなと思います。
キャリアを積むことを苦行ではなく楽しみだと思えたらどんなに素敵でしょうか。
仕事を通して楽しんで幸せになれる人が増えたらきっと社会は明るくなると思います。自分もその一人になれるようにキャリアを積むことを楽しんでいきたいなと思っています。

平井圭子
富山県出身。青山学院大学経営学部経営学科卒。
プロフェッショナルファームで10年以上人事業務に従事。妊娠・出産を経て人事系フリーランス&キャリアカウンセラーとして独立。現在はベンチャー企業の人事業務支援、大手法人のダイバーシティ&インクルージョン推進支援、大学・高校での相談業務に携わる。
仕事の目標は仕事が楽しいと思える人を増やすこと。
プライベートでやりたいことは全国の素敵な本屋さん巡りをすること。

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