失敗しない副業のポイント 強み生かせる仕事で稼ぐ
副業の最新トレンド(上)
「楽しめること」が継続の大前提
副業を始めるに当たっては、目先の稼ぎの多さより、「自分の揺るぎない強み」を生かすことに重点を置きたい。副業情報サイト「フクポン」を運営するネットピコ代表の中野貴利人さんによると、自分に合った副業を選ぶには、①本業の知識を生かす②本業ではないが好きで得意なことを生かす――という2つの視点がある。ただし、いずれも「楽しい」と思えることが大前提。「最も避けたいのは、本業に負の影響を及ぼすこと。肉体的負担だけでなく、精神的負担の少ない仕事や働き方を選びたい」と中野さんはアドバイスする。
本業の知識やスキルを生かす仕事は、副業の経験で得たノウハウを普段の仕事に還元できる点が大きなメリットだ。もちろんその逆も可能で、うまくいけば両輪で自己成長し、グングンと稼ぎ力をアップさせることができる。本業と副業の知識が重なる部分が多いことは、両者の負担軽減にもつながる。
本業ではないが好きなこと・得意なことを生かす仕事は、精神的負担が少なく続けやすいのがメリット。興味のある分野であれば進んで学習しようと思えるため、場合によっては本業を生かした仕事よりも負担が少ないと感じる人もいるだろう。まずはスキルシェアサイトなどを確認し、どういったスキルが売れるのかを確認するのもいい。
本業の「足りない部分」に鍵
「副業がうまくいく人とそうでない人の差は、目的が明確になっているか、そうでないかにある」と中野さん。副業は、試行錯誤しながらも続けることが何よりも重要。目的を明らかにして、それを果たすことを副業の軸に置くことで、ぶれずに活動し続けることができる。
収入を増やしたいのか、経験を積みたいのか、それとも仕事のやりがいが欲しいのか。副業の目的を明確化できないという人は、「"本業で満たされていない部分"に着目するのがいい」と中野さんはアドバイスする。
副業のよくある失敗パターンとして、本業と比較して時給が低いことをストレスに感じてしまい、早々に辞めてしまうという場合がある。だが、「どんな副業も、基本的に最初は経験を積む"修業期間"だと心得ておいた方がいい」(中野さん)。始めたてのうちは収入は差し置いて無理のない範囲で仕事を受けていき、スキルを磨いたり、同種の副業で稼いでいる人の手法を学んだりすることに専念したい。その後、積み重ねた実績をアピールすることで、段階的に収入アップを目指していくのが王道だ。その上で、どう工夫しても稼げないのであれば、「自分に合っていない」と見切りをつけて他の副業を探してもいいだろう。
さらに最近は、副業成功のために「仕事を得るためのアピール力」の重要度が増していることも押さえておきたい。「コロナ禍で副業をする人が増えた」ということは、裏を返せば「競合が増えた」とも言える。「特にオンラインで行える副業は、競合が多くなっている」(中野さん)。スキルシェアのマッチングサイトなどを利用する場合は、プロフィルの表現方法を工夫することにも注力しよう。
資格試験が学びの機会に
稼ぎ力アップの手段として、資格や検定試験を活用する方法もある。資格取得の良い点は、キャリアアップに生かせることだけではない。自身も800以上の資格を取得し、「All About」資格ガイドである鈴木秀明さんは、「資格試験を通してその分野を学ぶことで、体系的に知識が身に付く点も大きなメリットだ」と語る。
稼げる資格選びでポイントとなる点は、①キャリアを補強する内容を勉強する②自分の興味を深掘りする――の2つ。仕事に直接的に結びつく分野だけでなく、純粋に興味のある分野も試験勉強を通して深く学ぶことで、多面的な知識が得られ、ビジネスの場面で役に立つことがあると鈴木さんは話す。仕事関連の資格の取得は、人事へのアピール材料となるだけでなく、試験勉強を通じて得られた知識そのものが、キャリアを築く上での支えとなるという。
(大松佳代)
[日経マネー2022年3月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2022/1/20)
価格 : 750円(税込み)
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