趣味や特技をお金に換える スキルシェアで稼ぐコツ
副業の最新トレンド(下)
動画編集からビジネススキルまで案件は様々
何らかのスキルを持っている人が、ネット上で個人や企業からの仕事を受注できるスキルシェア関連のマッチングサービスが広がっている。マッチングサイトでは、初心者でも簡単に始められる低単価の案件から、技術が必要となる高単価の案件まで、多種多様な依頼を見つけることができる。
様々なマッチングサイトがあるが、「大企業の案件に強いもの」や「教える系に特化したもの」など、特徴はそれぞれ異なる。「まずは一通り登録してみて、各サイトでどんなスキルに需要があるのかや、相場観などをチェックするのがお勧め」と、副業情報サイト「フクポン」を運営するネットピコ代表の中野貴利人さんはアドバイスする。
トレンドの把握も重要に
スキルシェアで稼ぐ際に重要なのが、世の中のトレンドをつかむ努力。「例えば、動画制作のスキルは足元では供給過多な状況も見られ、差別化が難しくなっている。一歩先を行き、これから増えるであろう需要にいち早く気付く力も必要だ」(中野さん)
他の受注者と差をつけたいのであれば、専門性を磨くのも一案だ。例えばライターであれば、「料理分野に強い」「法律分野専門」などと自分の特徴をアピールすることが稼ぎ力アップの秘訣となる。
「効率的に稼ぐためには、形から『入らない』ことも重要」(中野さん)。イラスト制作や画像編集などの仕事を始める際、つい道具や機器を買いそろえたくなることも少なくない。だが、「まずは最低限の用意だけで始め、新たに必要になったものを追加で買う、というスタンスがいい」と中野さんはアドバイスする。その副業がそもそも自分に合っていなかった場合に、無駄な出費となってしまうためだ。余計なコストはなるべくかけないようにするのが基本だ。
副業実例に学ぶ、無理なく副収入を稼ぐコツ
北海道に住む20代の男性会社員・タナイさん(ハンドルネーム)が副業を始めたのは2020年3月。当時はメーカーの社員だった新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が推進され、残業時間が大幅に減ったことがきっかけだ。もともと仕事で使っていた、Excel(エクセル)のプログラミング言語「VBA」の知識をお金にできないかと考えた。
一通りスキルシェアサイトに登録したが、最終的にはランサーズを選んだ。「中小企業からの案件も多く、平均的な単価が高い点に注目した」と話す。
タナイさんはあえて、最初から高い報酬の案件を目指した。ただ、当初は実績がないため、待っているだけでは高額の依頼は来ない。そこで、企業などが受注者を募集し、名乗りを上げた候補者の中から受注者を選ぶ形式の仕事を狙った。手を挙げる際は、企業が発注している仕事を8割方仕上げて提示し、「あとは発注してくれれば、すぐ納品できる」とアピール。順調に仕事を獲得した。領収書の一括作成や複雑なアンケートの作成などを手掛け、月15時間程度の副業で20万円ほどを稼いでいた。
負担の少ない副業にシフト
副業を始めて心の余裕も生まれ、20年10月からは在宅で仕事ができるIT(情報技術)企業に転職した。副業の良いところは、仕事の内容を本業よりも柔軟に変更できる点。タナイさんも転職後は新たに学ぶことが増えたため、副業の時間を短縮することにした。
現在はIT系の副業初心者に向けた副業成功法指南のコンサルティングと、ブログのアフィリエイトを軸に据える。コンサルは、メンター(助言者)と教わる人のマッチングサイト「MENTA(メンタ)」を利用し、月1万~2万円を稼ぐ。「教わる側も平日は本業と副業で忙しいため、基本は週末に集中して月2時間程度、チャットで疑問に答えている」。ブログは「Amazonアソシエイト」などを利用し、始めた当初に3カ月で集中して約100本の記事を作成。人気記事を定期的に更新することでSEO(検索エンジン最適化)対策をして、月2万~3万円の収入を得ている。
無理なく続けるため、副業選びでは明確な条件を持つ。「スキルアップできるもの、もしくは精神的・肉体的に負担がかからないものを状況に合わせて選んでいる」という。
(大松佳代)
[日経マネー2022年3月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2022/1/20)
価格 : 750円(税込み)
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