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沸騰クリエーターエコノミー 稼ぎ方デジタルで多彩に

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CBINSIGHTS
デジタル技術の進化を背景に、創作活動を営む個人が組織などを介さずに直接稼ぐ「クリエーターエコノミー」が急成長している。ユーチューバーなど新しい形のクリエーターが増える一方、従来の広告収入に加え、投げ銭サービスやコンテンツ販売サイトなど個人が作品やスキルによって収益を得るデジタルツールが続々と登場しているからだ。大手SNS(交流サイト)もこの商機を逃すまいとクリエーター個人が稼ぐ機能を強化している。

巨大テックのプラットフォームはユーザーとのつながりを強化するため、クリエーターを自陣に引き留めようと競い合っている。

だがこうしたプラットフォーマーにかつて翻弄されていたクリエーターは、今や自分の投稿をもっと直接マネタイズ(収益化)し、取り分を増やす方法を探っている。

こうしたクリエーターはジャグジーにつかる様子の中継や、ゲームのプレー風景を配信する「ゲーム実況」、ネット上のちょっとした面白ネタ(インターネットミーム)の有料限定での分析、足の写真の販売など、新たな収益化手段を追求している。アプリ専用の編集ツールからマルチチャネル分析、物品販売テックに至るまで、こうした需要に対応するスタートアップの盛大なエコシステム(生態系)が出現しつつある。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

「ネットや動画投稿サイト『ユーチューブ』では動画に広告がつかず、自分のチャンネルが解約されるのではないかという不安がつきまとう。このため、クリエーターは常に他の稼ぐ手段を探している」。ユーチューバーのジョシュア・ワンダース氏は米ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)とのインタビューでこう吐露した。「こうしたプラットフォームで自分がどうなるかは分からない」

「クリエーターエコノミー」とは、動画ブログをつくる「ブイロガー(Vlogger)」やインフルエンサー、ライターなどの独立クリエーターが、自分自身やスキル、作品を収益化するために立ち上げた多数のビジネスを指す。コンテンツ作成ツールや分析プラットフォームなどクリエーターを支える企業も含む。

旺盛なクリエーターエコノミーを後押ししているのは、小口顧客から自分の作品を直接収益化できるツールだ。「投げ銭」サービスの英コーフィー(Ko-fi)、コンテンツ販売プラットフォームの米ガムロード(Gumroad)、オンライン講座の作成プラットフォームを運営するカナダのシンキフィック(Thinkific)や米ティーチャブル(Teachable)などがその主な例だ。

今回のリポートでは、クリエーターエコノミーとそれが切り開くチャンスについて取り上げる。

クリエーターエコノミーとは

クリエーターエコノミーとは、自分の知識やスキル、ファンから収入を得る自営業者が始めた個人事業や副業を指す。

大手SNSのおかげで個人が大量のフォロワーを集められるようになったが、これまでは直接収入を稼ぐ手段はあったとしてもごくわずかだった(ユーチューブは例外で、クリエーターに広告収入の55%を渡している。同社が過去3年でクリエーターに支払った額は300億ドルに上る)。

ショート動画共有アプリ「バイン」(現在はサービスを終了)はこの先行例だった。同社は2012年に米ツイッターに買収され、15年の最盛期には月間アクティブユーザーは2億人に達し、トーマス・サンダース氏やザック・キング氏、ショーン・メンデス氏などのトップクリエーターを育てた。だがサービスの方向性が定まらず、クリエーターを支援するインフラもなかったため、クリエーターが大量に去っていった。

バインのあるトップクリエーターは16年、米ニュースサイト「バズフィード」の取材に対し「3年半も無料で投稿させるのは長すぎる」と不満を漏らした。「多くのトップクリエーターがユーチューブで大成功を収めており、今や成功の波は米フェイスブックにも及んでいる」

インフルエンサーやクリエーターは今や本格的な職業になり、間接的な収益化では不十分になっている。広告契約はブランドのさじ加減ひとつで決まり、制約を伴い、月ごとに大きく変動する。しかもクリエーターは幅広い層をターゲットにするよう迫られ、ニッチな分野や層に特化しづらい。主な事業基盤が無料コンテンツである点もクリエーターの作品の価値を下げている。オーディエンスが無料に慣れたコンテンツにわざわざ代金を払うだろうか。こうした背景から、クリエーターが自分のオーディエンスを囲い込む比較的閉鎖的なコミュニティーが増えている。

音声クリエーターのコミュニティー「オーディオ・コレクティブ」の共同創業者で、自身もクリエーターであるキャサリン・コナーズ氏はNYTとのインタビューで「私たちがやりたいのは音声で一変するモデルをつくることだけではない。プラットフォームや技術者ではなく、アーティストやクリエーター、有能な人材がつくるクリエーター主導の文化を推進したい」と語った。

今や大手SNSに取って代わろうとするさらに新しいプラットフォームが台頭しつつある。こうしたプラットフォームはユーザーが作成したコンテンツの価値を認め、対価を払っている。トップクリエーターがユーザーを新たなプラットフォームに引き付ける影響力を持つようになったことも、プラットフォームがクリエーターに報酬を支払う要因になっている。

・メールマガジン配信プラットフォーム、米サブスタック(Substack)のライターは購読料の90%を受け取る。

・ゲーム実況サイト、米ツイッチ(Twitch)のパートナー(人気クリエーター)は購読料の半分をもらえる。

・アーティストなどを支援するサブスクリプション型のクラウドファンディング、米パトレオン(Patreon)のクリエーターは支援金の88~95%を得る。

・有料SNS、英オンリーファンズ(OnlyFans)のクリエーターは収益の80%を収入として得る。

クリエーターが大きな影響力を持ち、独自に収益化できる方向にシフトしつつあるのは明らかだ。フェイスブックやインスタグラム、米音声SNS「クラブハウス(Clubhouse)」などの大手SNSから、中国のビリビリ(Bilibili)や独サウンドクラウド(SoundCloud)、ツイッター、米ミディアムなどのオンラインメディアに至るまで、従来の配信プラットフォームはオーディエンスの獲得という点では非常に重要だった。だが、クリエーターを創業者とするエコシステムの構築は新たな可能性を秘めている。

クリエーターエコノミーのバリューチェーンとチャンス

クリエーターは大抵、様々な収入源に対応するためにいろいろなツールを寄せ集めなくてはならない。既存のBtoB(企業向け)やBtoC(消費者向け)企業はまだこうしたマイクロ起業家のニーズに対応しきれていない。中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」などの消費者向けアプリはまだ課金の仕組みが整っておらず、セールスソフトの米ハブスポット(HubSpot)やカスタマーサービスソフトの米ゼンデスク(Zendesk)などの企業向けツールは個人のクリエーターに対応していない。

各社は今や商機に気付き、クリエーターを自社プラットフォームに引き留めようとしのぎを削っている。

・フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は最近、インスタグラム内にクリエーター着用アイテムを購入できるショップ、アフィリエイト(成果報酬型の広告)リンク、インフルエンサーをブランドとつなぐマーケットプレイスなど一連のインフルエンサー向けツールを追加する方針を明らかにした。

・クラブハウスは最近、ツイッターと同様に、初の収益化機能となる音声クリエーター支援策に乗り出した。

・ツイッターも多くのフォロワーを持つ投稿者が限定ツイートに課金できる機能「スーパーフォロー」や、音声チャットルームの有料チケットを販売できる機能の提供を始めた。

・ティックトックは既にアプリ内に広告主とクリエーターをつなぐマーケットプレイスを設け、2億ドルのクリエーター向け基金を創設している。

・ユーチューブは広告収入の支払いに加え、クリエーター向け基金も創設している。ティックトックによく似たショート動画投稿サイト「ショーツ(Shorts)」のクリエーター向けに1億ドルの基金を設立している。

・音楽ストリーミング配信サービスのスポティファイ(スウェーデン)はポッドキャスト購読サービスに配信者を取り込むため、23年までは手数料を無料にし、その後は5%徴収する方針を明らかにした。

・ソースコード共有サービス、米ギットハブ(GitHub)のような企業でさえクリエーターの支援に乗り出し、パトレオンのサブスク型投げ銭モデルと同様のサービスを手掛けている。

一方、様々なスタートアップがクリエーターのコンテンツ作成やオーディエンス開拓、広告以外の事業拡大の手段に創造的破壊をもたらそうとしている。動画編集ソフトの米カップウィング(Kapwing)、インフルエンサーなどがファン個人向けのメッセージ動画を販売できる米カメオ(Cameo、会社名はバロンアップ=Baron App)、クリエーター向けクレジットカード会社の米カラットファイナンシャル(Karat Financial)など、各社の事業はコンテンツ作成、ファンとのやり取りの収益化、資金繰り支援などに及ぶ。

バリューチェーンは広範だ。従来の雇用では生産、収入、福利厚生がセットになっているが、クリエーターはこれらがバラバラになった環境で事業を営んでいる。様々な編集ツールや、異なる収入源、バックエンドプラットフォームなどを自分で集めなくてはならない。

クリエーターエコノミーの市場マップ

CBインサイツのデータを活用し、コンテンツ作成やプラットフォーム以外での収益化、オーディエンス管理などクリエーターの作業サイクルの各段階から利益を得ているクリエーター向け企業約125社を抜き出した。

マップには未上場の存続企業だけを記載しており、この分野の企業を網羅するのが狙いではない。カテゴリーは一部重複している。

クリエーターエコノミーの規模

「クリエーター」という言葉は副業でPDFを売る愛好家からプロのブイロガーまで誰でも含むほど幅広く、自分の作品を売る手段はいくつもあるため、クリエーターエコノミーにまつわる数字を完全に把握するのは困難だ。米ベンチャーキャピタル(VC)シグナルファイヤーによると、自称クリエーターは約5000万人に上る。

クリエーター側には、各プラットフォームから資金が流れ込んでいる。

・米誌フォーブスの報道では、19年6月~20年6月の再生回数がトップクラスのユーチューブチャンネルの収入は2億1100万ドルに上った。

・フーダ・カッタン氏やエレオノラ・ポンズ氏などインスタグラムの著名インフルエンサーは1回の投稿につき最大6ケタ(数十万ドル)を稼ぐ。

・サブスタックのトップライターは年間100万ドルをかき集める。

・ガムロードのクリエーターは11年以降、コンテンツ販売で4億6000万ドル以上を稼いでいる。

インフルエンサーのマーケティング代理店の米メディアキックスによると、22年に企業がインフルエンサーマーケティングに費やす額は実に最大150億ドルに上る見通しだ。

クリエーターエコノミーの大手企業と有力投資家

CBインサイツがまとめた業界企業コレクション(161社)に載っているクリエーター向け企業の資金調達額は21年だけで計13億ドルに上り、前年の4億6400万ドルから3倍近く増えた。

この分野への投資の増加により、一部の企業はユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)か、それに近い地位に達している。

・パトレオン:この会員制プラットフォームは直近のシリーズFで1億5500万ドルを調達し、企業価値が40億ドルになった。

・米カジャビ(Kajabi):オンラインコース作成プラットフォームの調達総額は5億5000万ドルで、市場マップに載っている企業の中で最も多い。企業価値は20億ドル。

・カメオ(会社名はバロンアップ):調達総額は1億6600万ドル、企業価値は10億ドル。

・サブスタック:調達総額は8200万ドル、企業価値は6億5000万ドル。

・米VSCO:写真加工アプリの企業価値は5億5000万ドル、調達総額は8500万ドル。

・米スプライス(Splice):音声編集プラットフォームの企業価値は5億ドル。米ユニオン・スクエア・ベンチャーズ、米トゥルー・ベンチャーズ、米ファースト・ラウンド・キャピタル、米レラー・ヒッポー・ベンチャーズなどから出資を受けている。

従来のVCも恩恵にあずかろうとしている。総合型VCや消費者向けに特化したVCはサブスタックやパトレオンなどこの分野の著名企業に出資している。

米有力VCアンドリーセン・ホロウィッツはCBインサイツの業界企業コレクションに最も広く出資している。楽曲配信の米ユナイテッドマスターズ(UnitedMasters)、eスポーツ対戦プラットフォームの米ローキー(Lowkey)、クリエーター向けコミュニティー管理サービスの米ビーコンズ(Beacons)など出資先は18社に上る。2位以下はユニオン・スクエア・ベンチャーズ(11社)、米CRV(9社)、米インデックス・ベンチャーズ、米SVエンジェル、米ソーシャル・スターツ、米スライブ・キャピタル(各7社)の順だった。

クリエーターエコノミーに特化した新たなVCも登場している。

リ・ジン氏が創業した米アトリエ・ベンチャーズは、ビジネス用チャットツール「スラック」のコミュニティーやティックトックのクリエーターのデータベースなどを通じ、クリエーターのコミュニティー育成に力を入れている。出資額は10万~30万ドルで、サブスタック、クリエーターの資金管理サービスの米スター(Stir)、アパレルの米ルマ(Luma)などに出資している。

ベンジャミン・グラブス氏が創業した米ネクスト・テン・ベンチャーズもこの分野に特化したVCだ。動画編集ツールの米トラッシュ(Trash)、スター、コンテンツ作成プラットフォームのカナダのステージテン(Stage Ten)などに出資している。

クリエーター中間層とは

各プラットフォームのトップクリエーターがますます多くのオーディエンスを集めるようになるなか、一極集中のリスクが浮上している。

ゲームソフト大手の米エレクトロニック・アーツの元主任プロダクトマネジャー、ラン・モー氏によると、ユーザー同士で作ったゲームで遊べるロブロックス(Roblox)では20年に一時、ユーザー全体の4分の1が一つのゲームに集中した。

これではプラットフォームは長続きしない。トップクリエーターは6~8ケタ(数十万~数千万ドル)に及ぶ報酬を受け取っているが、「中間層」と呼ばれる大半のクリエーターははるかに少ない収入で食いつないでいるからだ。オンリーファンズではクリエーターの上位1%が利益全体の3分の1を独占する一方、大半の収入は月145ドルに満たない。17年に収入が米国の連邦最低賃金を超えたパトレオンのクリエーターはわずか2%だった。

アトリエ・ベンチャーズのリ・ジン氏は「クリエーター向けプラットフォームは全ての人に成長と成功の機会をもたらす場合に繫栄する」と指摘する。「富の集中が緩和されることで、競合プラットフォームがトップクリエーターを引き抜き、事業全体が脅かされるリスクが減るからだ」と述べた。

多様で広範なコンテンツ作成を促しクリエーターの繁栄を支えることが、プラットフォーマーの商機になる。英誌エコノミストによると、ジャーナリストのクレイグ・モーガン氏は20年に勤務先から解雇されたが、今や同氏が発行するサブスタックのニュースレター(メルマガ)には1000人以上が月5ドルの購読料を払っている。全てのクリエーターが目を見張るほどの額を稼ぐわけではないが、生計を立てられる可能性はある。

雇われの身から脱し、経済的自立も実現できるといううたい文句には聞き覚えがある。

配車サービスの米ウーバーテクノロジーズや米リフトなどのギグエコノミー企業は似たようなサクセスストーリーを提示したが、こうした企業の登場から数年たってもなおギグワーカーになるメリットとデメリットを巡って白熱した議論が交わされている。ギグワーカーは自分ではコントロールできないアルゴリズムに翻弄されていると訴えており、新型コロナウイルス禍で従来の保障をほとんど受けられずに取り残されている苦境が顕在化した。

ライターのエミリー・リード氏はウェブメディア「リアルライフ」で、クリエーターの台頭や「非代替性トークン(NFT)」ブームのさなかのセルフマネタイズという美辞麗句の実態について「投資で圧倒的成功を収めたり、スターの座をつかんだりするという無きに等しい可能性は常にあるが、大半はダメ元で挑むしかない」と指摘する。

リ氏はクリエーターエコノミーを持続可能にするには、クリエーターへのさらなる資金提供、コンテンツ戦略の転換、クリエーターの教育など異なる戦略が必要だと訴える。

もっとも、新たなツールが登場しても、結局は有力クリエーターが影響力を持ち、それに伴いプラットフォーム自体の権力構造が移行するのではないかとの疑問は拭えない。超有名インフルエンサーやクリエーターは現行の大手プラットフォームから自由になる力を得るかもしれないが、残りの「中間層」クリエーターはどうなるのか。さらに「カジュアルな」ユーザーや「SNSを読むだけで投稿しない人」がコンテンツを作成したい衝動に駆られるようになるのか。

インフルエンサーやギグエコノミーの台頭と同様に、クリエーターエコノミーへの移行も個人のクリエーターに資金的リターンにとどまらない影響を及ぼす。

ジャーナリストのジェニファー・シャファー・ゴダード氏は米SNSスタディーホールで「少なくとも読むだけで投稿しない人ではなく、ネット上の人物であるためには、他人のコンテンツと自分自身のコンテンツとの一体化から脱し、自分自身のアバターを築く必要がある」と述べている。

次の展開は

クリエーターエコノミーはまだかなり初期の段階にすぎない。だが、この分野への投資は増えており、投資家も企業も注目している。

ネットメディア大手はクリエーターとそのファン層を自社プラットフォームにとどめておくため、さらなる収益化ツールの提供に乗り出すだろう。だが、クリエーターはプラットフォームにとらわれるのを好まず、単一プラットフォームへの依存を軽減するため独立ブランドになる可能性が高い。

クリエーターエコノミーの発展は様々な産業に影響を及ぼす。

・カラットファイナンシャルなどのフィンテック企業は既存の金融機関によるクリエーター向け投融資がない点に目を付けている。

・インフルエンサーが独立ブランドに移行することで、小売りはトップインフルエンサーと連絡を多少取りづらくなったり、起用コストが高くなったりする可能性がある。だが結局、スポンサー契約は当面廃れないだろう。EC各社は戦略の見直しを必要とし、買い物のソーシャルな要素に力を入れている。これはおそらくクリエーターにもっと主体性を与えたコラボ商品の限定販売という形態になるだろう。

・ネットメディアはクリエーターが他のプラットフォームに大量流出する事態を防ぐため、自社の強みを強化しなくてはならない。ここでは収入がカギとなる。巨大テックのクリエーター争奪戦でみられるように、これにはクリエーター向け基金からアプリ内の収益化機能までありとあらゆる策が含まれる。コンテンツ作成ツール、管理サービス、コミュニティーやメンターの機会などの機能も含むようになるかもしれない。

こうしたクリエーター向けの様々なサービスを一元化するのは業界全体に及ぶ商機になるだろう。コンテンツ制作会社やインフルエンサーのマーケティング代理店の台頭と同様に、急成長しているこの業界では、コンテンツ作成から分析、管理まで何でも扱う総合サービスへの需要が高まるだろう。

ユーチューバー向けに税などのビジネスサービスを提供する米セマフォア(Semaphore)の創業者、マイク・バイエンストック氏は「(ユーチューバーは)もともと豊富な資金があって起業を決意した人とは違う。主に一代で築いた富だ」と話す。

クリエーターの固有のブランドやニッチなビジネスを支援するツールは、長期的には勝者として台頭するだろう。あらゆるフリーランサーを対象とした総合型サービスではなく、クリエーターのニーズに特化した企業がさらに増えるだろう。

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