賃上げに向けた価格転嫁、「発注者から協議」が必須に
大手企業が取引先の賃上げに向けた取引価格の転嫁の対応に追われている。公正取引委員会などが2023年11月末に公表した指針で、労務コスト分の値上げ協議を発注側の企業から取引先に働きかけることなどを求めたからだ。踏み込んだ対応要請に大手企業の戸惑いもみられるが、対応が不十分だと企業イメージの低下を招くリスクもある。
公取委と内閣官房は23年11月、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を...
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。
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