コロナ休校時の有給助成、4月に縮小 雇用政策も正常化
政府は新型コロナウイルス対応で3年近く続けてきた雇用下支え策を縮小する。休校時に子どもの世話のために仕事を休んだ保護者向けの助成の対象を4月から絞る。企業が従業員を休ませた場合の助成金の特例は1月末で終える。新型コロナの感染症法上の位置づけ変更と歩調を合わせ、雇用政策も正常化にかじを切る。
労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)分科会が23日、小学校休業等対応助成金を3月末で打ち切る案を了承した。緊急事態宣言や流行による休校を理由に保護者が有給休暇を取った際、企業の支出を補塡する制度だ。
共働き世帯は7割程度を占め、休校時の子どもの対応に苦慮する保護者は多い。有給休暇を取りやすくする狙いで2020年2月に導入した。累積の支給決定数は約45万件で、総額は約950億円に上る。フリーランスなどが対象の小学校休業等対応支援金も3月末で終える。約4万件、60億円以上を支給決定していた。
4月以降は両立支援等助成金の特例での対応に切り替える。雇用保険の被保険者を対象に1人当たり10万円、1事業主当たり100万円を上限にする。企業にはテレワークや短時間勤務など、働き続けられる仕組みの導入を要件にする。それでも休業を余儀なくされた保護者向けに限定する。
保育園休園時の利用料を日割りで減免する措置も4月以降、廃止する。1月中旬までの全面休園数は数千に及んだ。
政府は企業業績の大幅な悪化により従業員を休業させた場合の休業手当を支援する「雇用調整助成金」(雇調金)の上乗せ特例を終える方針も決めている。1月末で原則として終了し、通常の支給額に戻す。
コロナ対応で政府は従来の経済危機を上回る雇用・家計支援を打ち出した。失業を抑制して円滑に経済活動を再開する狙いがあったが、想定以上に長引いた。
企業が過度に雇用をため込む「雇用保蔵」を招き、人材を必要とする成長産業への労働移動を阻害したとの指摘がある。雇調金は支給決定額が6兆円を超えて積み立てが枯渇し、一般会計からも繰り入れる緊急対応を迫られた。
このままでは次の危機で雇用保険がセーフティーネットとして機能できない恐れがあり、4月に雇用保険料の引き上げを予定している。
コロナ禍で打ち出した危機対応について、費用対効果のバランスや財源確保、出口戦略のあり方などを精緻に検証する取り組みが欠かせない。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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