“Zoomはもう終わり”!? 新進気鋭のビデオ会議サービス「Around」がすごすぎてすごい

Posted by kai3 on February 17, 2021 · 1 min read

【2021/2/19追記】

非常に多くの方にお読みいただき、また記事公開のタイミングで仕様が変わっている点もあったため、記事執筆時に不足していた部分を追記いたします。

招待制から登録制に移行

当初招待制だったAroundですが、この記事を公開したタイミングでちょうど登録制に移行していたようです。サイトもメールアドレスを登録して連絡を待つのではなく、GoogleやSlack、Appleのアカウントでサインアップできるようになっています。

招待制から登録制に

音声技術は特許出願中

Aroundの要でもあるハウリングを起こさない技術や音声の自動チューニングは現在特許出願中とのことで、Aroundならではの独自性は高そうです。

モバイル対応・Linux対応は現在開発中

AroundのFAQによるとモバイル対応、Linux対応は”coming soon - stay tuned!”とのことです。

余談

よほど日本人の登録が多かったのか、Aroundの公式Twitterから日本語で直々にコメントをいただきました(とてもきれいな日本語で、今後の日本語対応も楽しみになりますね)。

【追記ここまで】

こんにちは、Geoloniaの甲斐です。

代表が和歌山県串本に住み、社員の過半数が地方に拠点を置くGeoloniaでは、仕事はリモートワークで行うのが当たり前。そんなGeoloniaのミーティングでは、社内はもちろん社外とのやりとりでもビデオ会議サービスが欠かせません。

ビデオ会議サービスというとZoomやGoogle Meet、Micorsoft Teamsといったサービスが有名ですが、いま注目なのが海外のスタートアップ発のビデオ会議サービス「Around」。Webサイトには「Zoomはもう終わり!?」を意味するかのような“Zoom Out”というフレーズが記載されており、刺激的かつ挑戦的なサービスの姿勢が感じられます。

Around

Around | Video calls designed for energy, ideas and action
https://around.co/

現在はベータ版のため招待制となっており、Webサイトからユーザー登録して連絡を待つ必要がありますが、ユーザーになると5人まで招待できるようになるほか、初回登録時には同じチームで使うユーザーを招待枠とは別に招待することができます。

※現在は登録制になっています。

Aroundをジャンルでひとくくりにするなら「ビデオ会議サービス」なのですが、Aroundは今までのビデオ会議サービスとは明らかに一線を画す、非常に魅力的な機能がたくさん詰まっています。

最初こそ「また新しいビデオ会議サービスを試してみるか」くらいの気持ちだったのですが、実際に使ってみると「こういうサービスを待ってたんだ!」と叫びたくなるくらい、今までのビデオ会議サービスに感じていた不満をことごとく払拭する機能がこれでもかといわんばかりに実装されていました。

招待制のため誰でも気軽に使えるサービスではないのですが、すっかりAroundに魅せられたものの1人として、Aroundのありあまるすばらしさをこのブログで紹介したいと思います。

ストレスのない画面UI

Aroundはいいところがありすぎてどこからお勧めしていいか迷うのですが、それでも一番に挙げるとするなら独自のUIでしょう。Aroundでは参加者の画像が丸くトリミングされ、画面にフロートした状態で表示されるようになっており、参加者の顔で画面が埋め尽くされることはありません。

参加者の顔は丸くトリミングしてフロート表示

フロート画面は大きさを調整できるので、作業の邪魔にならないよう小さくして画面の隅に置いておくこともできます。

ブラウザに重ねて表示してみたところ

大きく表示したい場合は「campfire」モードにすると、まるでキャンプファイヤーを囲むかのように全員が丸く輪になったUIで画面を確認できます。

campfireモード。人数が多いと輪になって表示される

ビデオ会議というと画面いっぱいに参加者の顔が表示される、というのが定番のUIでしたが、Aroundを使ってみると、参加者の顔はそこまで大きい必要もないし、むしろ画面いっぱいに並ぶ顔はストレスだったのだな。と実感します。実際に使ってみても、表情がわかるほどよい大きさが実に絶妙なサイズ感。

自分の顔は自動で追尾

画像を丸くトリミングするのには別の意味もあります。Aroundでは顔を自動で追尾する機能が搭載されており、Webカメラに映る範囲であれば自分を自動的に中心に表示してくれるため、カメラの位置を気にする必要はありません。

背景部分はトリミングでカット

また、自分の顔の周りだけをトリミングするため、背景の余計な部分が映り込まずに済むというメリットもあります。AroundのWebサイトでは、自宅からのニュース放映中に子供が映り込んでしまったBBCの珍事件をネタにして「Aroundならあの子供は映り込まなかったよ」というデモが掲載されていますが、こういうジョークも交えたセンスのよさもAroundの見どころです。

Aroundのサイトに掲載されたデモ。この時Aroundを使っていれば……

ノーメイクも気にしないで済むフィルター

カメラの映像はボタン1つでさまざまなフィルターがかけられるようになっており、背景をあまり見せたくない、化粧をしていないから顔を出したくない、という人にも便利。背景はわからなくても表情はしっかりわかる絶妙なフィルターがそろっており、ビデオ会議に大事なのは画質ではなく相手の表情なのだ、ということを改めて認識させられました。

クリック1つでフィルターを設定

ステータスを示す多彩なアイコン

アイコンも豊富で、「いいね」「バイバイ」「挙手」といったアイコンはキーボードショートカットで表示できるほか、絵文字や面白GIFも多数用意。

挙手は手を上げた順番もわかる

面白GIFは「GIPHY」と連携しており、検索キーワード次第では著作権的にどうなのという画像もいくつかあるのですが、堅苦しくなりがちなビデオ会議を和ます役割としてはいい存在。

面白GIFをアイコンにできる

自分のステータスを表示できる機能も用意されていて、離席中や集中モードといったステータスはもちろん、見てほしいWebサイトのリンクを設定することも可能です。

離席します

同じ部屋でもハウリングが起きない独自技術を搭載

映像だけでなく音声の機能も充実。中でも面白いのが、同じ部屋にいる人が参加した会議でハウリングが起きないよう調整してくれる技術です。

同じ場所にいる人が1つのビデオ会議に参加した場合、自分がしゃべった声が近くにいる人のマイクにも入ってしまってハウリングを起こすことがあります。多数のビデオ会議に参加経験がある人なら一度は体験したことがあるのではないでしょうか。

しかしAroundでは、同じWi-Fiに接続している人がいる場合に「同じ部屋に人がいませんか?」とアラートを表示。ここで「同じ部屋にいます」と回答すると自動でハウリングを防ぐ機能が適用され、同じ場所で別のPCから参加しても声がハウリングしなくなります。

同じネットワークにいる人をチェック

同じ場所にいる人を検知してハウリングを防いでくれる

全員がリモート環境の場合は心配ないのですが、会議室で数名が参加しつつリモートでも話す、という時にこの機能がとても便利。わざわざ会議用のマイクなどを用意することなく、自分のPCからいつも通りにビデオ会議に参加できます。実際に試してみましたが、真横に人がいる状態で話をしてもまったくハウリングが起こらず、クリアな音声が伝わりました。

環境音や小さい声も聞きやすく自動でチューニング

音声のチューニングも行われており、サイレンや犬の鳴き声といったノイズは自動的に抑制。さらに声が小さい人、マイクから遠くて声が小さく聞こえる人なども自動的に音量を調整してくれるため「すみません聞き取りにくいのでもう少し大きい声を出してください……」と頼む必要もありません。

ただ会議室に集まってパソコンを開くような感覚でビデオ会議が実現できる、そんな気軽さで高品質なビデオ会議が実現できるのがAroundの魅力です。

共同編集できるNotesは議事録作成に便利

映像と音声以外でもAroundは魅力的な機能がたくさんあります。

会議の議事録が取れるNotesは、参加者全員がリアルタイムに書き込むことができ、Markdownにも対応。さらにミーティングが終わるとNotesの内容を参加者全員にメールで送ってくれるなど、至れり尽くせりの対応です。

議事録に便利なNotes

ペーストもできる画像シェア

画像の共有や画面共有ももちろん対応しており、画像はドラッグ&ドロップだけでなくクリップボードからの貼り付けもOKなので、サイトの画面をサッとコピーして共有する、という使い方にも便利。

ペーストも対応の画像シェア機能

相手の画面をリモートで操作できるスクリーンシェア

さらにすごいのが画面共有機能で、アプリ単位での画面共有と画面全体の共有を使い分けられるのはもちろんのこと、画面全体を共有する場合は、共有された側が許可を得た上で画面をリモート操作することもできます。プログラミングでわからないところを代わりに入力、といった使い方はもちろん、遠く離れて住む両親のパソコンを遠隔から操作してサポートするなんてことも可能。

相手の画面をリモートで操作できるスクリーンシェア機能

その場で画面さえ見ればすぐ指示が出せるようなことがビデオ会議ではうまくいかずもどかしい、ということが多々あるのですが、Aroundはリアルの会議と同等とまでは言わないものの、ビデオ会議で難しかった「画面を見て代わりに操作」を実現しており、リモートワークでの不満や不便さを実によくわかっているな、と関心させられました。

入室者が事前にわかるSlack連携

Slack Fundの投資を受けているためSlack連携も充実。Slackからすぐに会議を立ち上げられるだけでなく、「いまこの会議に誰がいるか」を事前に見ることができます。人気の音声SNS「Clubhouse」も事前に誰が入室しているかわかる機能を実装していますが、入る前から誰がいるかわかるという安心感は、離れた場所から参加するビデオ会議だからこそとても大事な機能だなと思います。

Slack連携で入室している人が事前にわかる

なお、Aroundの会議室は、都度乱数交じりのURLを発行するタイプと、毎回同じ固定のURLで会議できるタイプの2種類があります。後者のURLは「meet.around.co/r/【任意の文字列】」という形式のため早い者勝ち。このあたり今後は制限入りそうな気もしますが、Aroundの参加権を無事手に入れたらできるだけ早く自分の好きなURLを設定しましょう。

固定URLは早いもの勝ち。「party」はすでに取得されていた

スタートアップながら充実のサービス。今後の普及が楽しみ

リモートワークの不便さを解消するための機能を余すところなくフォローした充実の機能、おしゃれでユーモアも効きつつわかりやすいWebサイトなど、失礼ながらスタートアップとは思えないくらいクオリティの高いAround。それもそのはずAroundの創業者は15年のリモートワーク経験を持ち、Aroundも2年以上の歳月をかけて開発、つまりコロナ禍の影響を受ける前から長期に渡って企画されていたサービスなのです。

スタートアップ経験の長い私としては、ついつい荒削りでもいいからまずは世に出そう、というスタンスを取りがちなのですが、Aroundのようにクオリティを高めるだけ高めてから世に放つ、というのもまた魅力的な手法だなと痛感しました。

招待制のためすぐに利用できるサービスではありませんが、1ユーザーにつき5つまで招待枠が用意されているので、人気に火が付けばすぐに広まりそう。Aroundに興味をもった方はまず正攻法としてサイトにユーザー登録をしつつ、周りで使っている人がいないか探してみてください。

**【追記】**動作未確認なのですが、ゲストとしてAroundに参加したことがあるとその後もAroundを利用できるようです。知り合いでユーザーがいたら一度ルームに招待してもらうと使えるようになるのかも。

※現在は登録制になっています。

なお、人気ポッドキャスト「backspace.fm」の第380回でもAroundの魅力について語られています。興味ある方はこちらもどうぞ(1時間40分くらいから始まります)

#380:Apple Watchの帰還 - Episode 6 – backspace.fm
https://backspace.fm/episode/380/



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