ウーバー、英ドライバーの労働組合加入を公認…労働条件についての団体交渉が可能に

ウーバーCEO、ダラ・コスロシャヒ

ウーバーのダラ・コスロシャヒCEO。

Riccardo Savi/Getty Images

  • ウーバーは5月26日、イギリスの同社のドライバーを同国最大の労働組合の一つ「全国都市一般労働組合(GMB)」が代表することで合意した。
  • ウーバーが労働組合との交渉を認めるのは初めてのことだ。
  • イギリスのドライバー7万人は、GMBに加入して、賃金や年金、そのほかの待遇について団体交渉ができるようになる。

ウーバー(Uber)は5月26日、ドライバーの労働組合加入を初めて公認した。

ウーバーは、イギリス最大級の労働組合「全国都市一般労働組合(GMB)」との交渉を受け入れることを決定した。イギリスのウーバー・ドライバー7万人はGMBに加入し、賃金、休暇、疾病手当、企業年金などについて交渉することができると、GMBのウーバーとの共同プレスリリースで発表された。

ギグ・エコノミーの配車サービスと労働組合がこうした合意に至るのは初めてのことだ。

ドライバーは、ウーバーのアプリにアクセスできなくなった他のドライバーの代理をしたり、ドライバーのミーティングハブにアクセスしてヘルプやサポートを受けることもできるようになる。

GMBが年に4回、ウーバーの上級社員と面会し、ドライバーの労働問題や懸念事項について話し合うことになると、両者は述べている。

この合意はフードデリバリー・サービスのウーバーイーツ(Uber Eats)の配達員には適用されない。イギリスにおける同サービスの配達員は約3万人。

GMBは創立132年で、62万人以上の組合員がいる。

労働組合を認める2カ月前、ウーバーはイギリスのドライバーを「従業員」に再分類すると発表、最低賃金、有給休暇、年金その他で、国の労働法に基づく保護を保証するとしていた。

「ウーバーとGMBは協力関係にないように見えるかもしれないが、常にドライバー優先でなければならないという点では一致しており、今日、労働者保護を改善するための重要な合意に至ることができた」とウーバーの北東ヨーロッパ地域ゼネラルマネージャー、ジェイミー・ヘイウッド(Jamie Heywood)はInsiderへの声明で述べた。

彼によるとウーバーは、イギリスの国民生活賃金(最低賃金)を満たし、休日手当、年金、そして組合活動を認めた業界唯一の企業だという。

「GMBとウーバーのこの革新的な合意が、何百万もの人々にとって、より公平な労働生活の第一歩となるだろう」とGMBのナショナル・オフィサー、ミック・リックス(Mick Rix)はInsiderへの声明で述べた。

「この合意が示すのは、ギグ・エコノミー企業が、雇用において未開のフロンティアである必要はないということだ。こうして民間のハイテク配車企業と労働組合が協力することで、皆が恩恵を受けるだろう。尊厳ある安全な雇用を労働の世界に戻すのだ」とリックスは述べている。

アプリ・ドライバーおよび配送業労働組合(ADCU:App Drivers & Couriers Union)は、2月、ドライバーの権利をめぐってイギリスでウーバーを訴えて勝訴した。Insiderへの声明で、ウーバーとGMBの合意は「歓迎すべき進展」だが、労働者と組合は「慎重」であるべきだと述べた。

ADCUは、ウーバーは「すべての労働時間における最低賃金保証など、基本的な雇用法に違反し続けている」ので、ウーバーから公認されたくはない、と述べている。


米Insiderを運営するInsider Incを所有するアクセル・シュプリンガー(Axel Springer)社はウーバーに出資している。

[原文:Uber has recognized a trade union for the first time. 70,000 drivers in the UK can now join and collectively negotiate wages, sick pay, and pensions.

(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)

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