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政府は13日、労働現場の過労の実態などをまとめた2023年版の「過労死等防止対策白書」を閣議決定した。今回は初めて芸術・芸能分野で働く人たちの労働実態について調査。俳優や声優らの2割超がセクハラ被害の経験があると回答した。
白書では、演劇や音楽、美術分野などの主要団体に所属する俳優ら640人(男性327人、女性297人、性別未回答16人)を対象に、昨年10~12月に行ったアンケート調査の結果を分析した。
このうち、「声優・アナウンサー」(35人)の25・7%、「俳優・スタントマン」(108人)の20・4%がそれぞれセクハラ被害を受けた経験があると回答した。具体的な被害として調査対象全体の中では「性的関係を迫られた」と「必要以上に体を触られた」がそれぞれ6・6%で最も多く、「恥ずかしいと感じるほどの体の露出をさせられた」が3・5%で続いた。
白書では、芸術・芸能分野で働く人たちの収入や労働環境についても分析した。
全体のうち、月収が10万円未満だったのは23・6%で、10万円以上20万円未満は21・6%だった。完全な休養日を「月0~3日」と回答したのは47・9%で最も多く、「4~6日」(21・3%)が続いた。仕事以外に、稽古やアルバイトで時間を取られ、十分な休息時間を確保できていない実態が浮かんだ。
調査に協力した一般社団法人「日本芸能従事者協会」の森崎めぐみ代表理事は、「芸術・芸能分野では、フリーランスの立場で働く人が多く、ハラスメントを受けても仕事を失う恐怖で、被害を申告できない人も少なくない。官民が連携し、第三者によるハラスメントの調査機関を設けるなどして、被害者の支援体制を強化していく必要がある」と話している。