2023年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式として「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が導入されます。

 

冒頭からたくさんの漢字がでてきましたね。でも大丈夫、おびえる心配はありません!

「消費税(しょうひぜい)」のことも「仕入税額控除(しいれぜいがくこうじょ)」のことも、「インボイス制度」のことも、ちゃ〜んとご説明しますので。

 

そもそもインボイス制度の正式名称にある「適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)」とは、“一定の事項が記載された請求書や納品書などの書類”のことを、いいます。

ようするに「ちゃんとつくった請求書」ってことです。

 

さて、このインボイス制度ですが、昨年の夏あたりから「フリーランスを殺す制度だ!」とか、「もう、インボイス制度だなんだと、訳がわからないよ!」といった声がSNS上で散見されるようになりました。

 

フリーランスにどんな影響があるのか?

どうして「フリーランスを殺す」と言われているのか?

 

「インボイス制度」について理解するには、まず「消費税」の仕組みを知ることが大事になります。

今回は、フリーランスになりたての漫画家・秋鹿えいとが、税知識のプロである税理士さんに「インボイス制度」について聞いてきました。フリーランスのライター、イラストレーター、フォトグラファー、漫画家は必見です!!!

 

※ここでいう「インボイス」とは「適格請求書=ちゃんとつくった請求書」のこと

※クライアントが「消費税分は払いません」「消費税分の単価を安くしてください」と発言するのは、「消費税転嫁対策特別措置法」に違反する恐れがあり、公正取引委員会から勧告を受ける可能性があります。

 

というわけで、インボイス導入後は、

・免税事業者か課税事業者かは、請求書を見ればわかるようになる

・免税事業者も、取引先に消費税を請求して大丈夫!

・ただし相手方があってのことなので、実際にどういう対応をされるかはわからない

・免税事業者自身よりは、取引先の負担が増えることになる

と、わかりました。

 

では、実際にフリーライターやイラストレーターに仕事を発注する企業側は、このままいけば「消費税負担が増える」ことになるインボイス制度について、どう思っているのでしょうか?

 

何度も言っているように、いくら「消費税分を請求しても大丈夫」とわかっていても、取引先にどういう対応をされるのか不安……!という方のため、五反田にオフィスを構える編集プロダクション・有限会社ノオト代表の宮脇淳さんにお話を伺いました。

 

有限会社ノオトは、フリーランスのライター、フォトグラファー、イラストレーターとの取引が多い会社です。インボイス制度が始まっても、変わらず免税事業者に仕事を発注してくれるのでしょうか……。すこしばかりの不安を抱えつつ、本音を聞いてみます!

 

売り上げを増やすのが最善の道!?

「というわけで、インボイス制度導入後も『免税事業者であっても、消費税分を取引先に請求できる』ことは税理士さんへの取材でわかりました。

とはいえ、取引先との関係性があってのことなので『発注が減ってしまうかも』とか、『(実質的な)値下げをされてしまうかも』といった不安を抱えているフリーランスは多いと思うんです」

「はい、はい」

「免税事業者であるフリーランスとお仕事をすることの多いノオトさん的には、『インボイス制度』をどう捉えていますか?」

「会社からすれば多少は負担額が増えるでしょうし、お財布に影響を与える制度だと思います。だけど、僕たちのような立場の会社がやるべきは『フリーランスの人たちが損をしない』ようにすることなんです」

「『インボイス制度』が始まると、免税事業者であるライターさんやイラストレーターさんとの取引は、仕入れ税額控除の対象にならないんですよ……?」

「はい、知っていますよ。

ただ正直なところ、『消費税』単体でいくら納めているかというのは、よくわからないんですよね。今までも消費税10%をそのまま払っていたかというと、いろいろな控除もありますし、消費税を含めた会社全体の数字で経営を考えるので」

「では、『インボイス制度』が導入されても、変わらず我々フリーランスとお付き合いを続けてくれるんですね……?(泣)」

「もちろんですよ!(笑)

というより、私たちの仕事はフリーランスのみなさんがいなければ成り立ちませんし、会社の経営にどれだけ影響があるかは、実際に導入されてみないとわからないことも多くて……。

それに、経営者としてやるべきことはとてもシンプルで、『売り上げを増やす』しかないんですよね。出ていくお金を心配するより、入ってくるお金を増やすことを考えるほうが建設的ですし、最大化する手だてを経営者は考えるべきだと思うので」

「なるほど、なるほど。それでいうと、我々フリーランスも同じかもしれませんね」

「ぶっちゃけ『外注費多いな〜』と思うことも、もちろんありますよ(笑)。だからこそ売り上げを上げればいいし、上げるしかないんです。

消費税が増えている一方で法人税率は下がっているので、結局トータルで考えていくしかないと思います。

協力してくれているフリーランスの方々にも、『会社として、ちゃんと法令に則ってやっていますよ』とお伝えしていかなければなりませんね。正直に、信頼できる関係性を築いていくのが大事だと思うので」

「税理士さんもおっしゃっていたように、『インボイス制度』については導入されてみないとわからないことも多いようですね。ビクビク怯えているよりは、いい仕事をして取引先との信頼関係を築きながら、しっかり稼ぐことが大事ですね! 今日はありがとうございました!」

 

 

取材協力|山口翔税理士事務所