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【2024】個人事業主の確定申告のやり方|必要書類や注意点、早く終わらせる方法

最終更新日: 2024年01月26日

個人事業主になると、確定申告を自分で行なわなければなりません。社勤めのときは、会社が年末調整をしてくれるため、自分で確定申告をするのが初めての方もいるでしょう。

確定申告は期限内に申告しないとペナルティがあり、早めの準備が必要です。この記事では、個人事業主が行なう確定申告の基礎知識をはじめ、必要書類や注意点にも触れながら、早くスムーズに終わらせる方法を解説します。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・1級FP技能士)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格、2010年京都大学経済学部経営学科卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

確定申告とは

確定申告とは
確定申告とは

そもそも確定申告とは、その年の1月1日から12月31日までの所得(売上から経費を引いたもの)を集計して所得にかかる税金を計算し、国に納めるべき税額を確定して申告及び納税する手続きです。

所得には給与所得、事業所得など10種類ありますが、確定申告はそのすべてに関する所得税額を計算する手続きになります。

確定申告の時期と期限

2024年の確定申告期間:2024年2月16日~3月15日

確定申告の申告時期は毎年2月16日~3月15日までの1カ月間で、3月15日が土日祝日にあたる場合は翌日もしくは翌々日の月曜日が期限日です。

期限を過ぎるとペナルティもあるため、早めの準備を心がけましょう。

なお災害などで期限までに申告ができない場合は、申告期限を延長する制度があります。

個人事業主が納める税金とは

個人事業主が納める税金
個人事業主が納める税金

個人事業主が納める税金は、事業にかかる税金と個人にかかる税金があります。確定申告ではそのすべてを正確に申告しなければなりません。

個人事業主が納める税金は、「所得税」「住民税」「事業税」「消費税」「国民健康保険料(税)」の5つです。他にも土地や家屋などの不動産を所有している場合には固定資産税がかかります。

また、相続や贈与を受けた場合は相続税や贈与税もかかります。

所得税

所得税は、1月1日から12月31日までの1年間に得た所得に課されます。所得とは収入から必要経費を引いた費用です。さらに所得控除を差し引いた額が課税所得額になります。所得税の税率は、所得が高くなればなるほど段階的に高くなる累進課税制度になっています。

所得の区分は次の10種類です。

確定申告における所得の種類

  • 事業所得
  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 給与所得
  • 山林所得
  • 一時所得
  • 退職所得
  • 譲渡所得
  • 雑所得

この中で個人事業主に最も関わるのが事業所得です。このほか、不動産の賃貸で収入を得ている場合は不動産所得、原稿料や講演料を得ている場合は雑所得に分類されます。

住民税

住所のある市区町村の住民として課税される税金です。「住民の生活に必要となる費用は、居住する住民が負担する」という趣旨で課されています。

所得税の確定申告を行なった場合には住民税の申告をする必要はありません

確定申告をしたあとにデータが市区町村に送られ、そのあと納税通知書が送付されてきます。納付期限は6月・8月・10月・1月の年4期に分かれており、それぞれの期限までに支払う方式です。

住民税は前年の所得に対し、1月1日現在の住所地で課税されます

消費税

消費税は商品の購入やサービスを受けた際に、その価格の10%相当を負担する税金です。個人事業主は売上の10%相当を購入者から預かる立場になり、一定の要件のもとに納税することになります。

消費税を納めるのは、消費税課税事業者です。消費税課税事業者となるのは、前々年の消費税の対象となる課税売上が1,000万円を超える個人事業主、もしくは課税事業者選択届出書を提出した個人事業主です。なお2023年10月以降は、適格請求書発行事業者の登録申請書を提出した事業者も該当します。

開業から2年間は前々年の売上がないため、何も提出していなければ消費税を納付する義務は発生しません。ただし前年の1月1日から6月30日までの売上が1,000万円を超え、かつ支給した給与等の総額が1,000万円を超える場合には、消費税課税事業者となり消費税の納税が必要です。

消費税の計算は、原則として売上で預かった消費税額から、仕入で支払った消費税額を差し引いて計算します。

消費税の申告期間は所得税の確定申告とは異なり1月1日~3月31日で、税金の納付期限は申告期限と同じく3月31日です。それぞれの期限が土日祝日にあたる場合は、翌月曜日が期限日になります。

個人事業税

地方税法に基づき、個人が事業を行なっていることに対して課される税金です。納めるべき事業の種類は法律で定められた70の業種で、ほとんどの事業が該当します。事業は第1種から第3種まで3つの区分に分類され、それぞれの税率は3〜5%です。

この事業税には290万円の控除があるため、所得額が290万円以下の場合は個人事業税が課されないようになっています。

確定申告を行なった場合、住民税と同じく個人事業主が申告をする必要はありません。確定申告をしたあとに市区町村から納税通知書が送付されてきます。納付期限は8月と11月の年2回です。

国民健康保険料

国民健康保険は、主に会社勤め以外の方が加入する健康保険制度です。国民健康保険料の納付額も確定申告によって決まります。

所得に基づいて計算されますが、地方税のため、住んでいる自治体によって税率は異なるのが特徴です。納税通知書は、住民税と同じぐらいの時期に市区町村から送られてきます。納付の回数は8~10回と市町村ごとに異なり、1年間の保険料をすべてまとめて払うことももちろん可能です。

国民健康保険料は公的年金保険の保険料などと同じく、翌年の確定申告で社会保険料控除の対象になります。忘れずに申告しましょう。

個人事業主で確定申告が必要な場合

開業していても、すべての人が必ず確定申告を行わなければならないわけではありません。1月1日から12月31日までの1年間の所得が、48万円以上の個人事業主やフリーランスが対象です。

また、会社勤めの方であっても、副業やアルバイト、不動産収入など給与以外での所得が年間20万円以上あれば、確定申告をする必要があります。

個人事業主で確定申告が不要な場合

個人事業主であっても、確定申告が不要なケースは2つあります。

 1年間の事業所得が48万円以下

年間の事業所得の合計が48万円以下であれば、個人事業主やフリーランスであっても確定申告の必要はありません。

所得48万円というのは、合計所得金額が2,400万円以下の場合、誰でも受けられる基礎控除の金額と同額です。

所得48万円は、売上(収入)から必要経費を引いた金額で計算します。例えば、売上が60万円だったとしても経費が15万円かかっていれば、所得は45万円となり、確定申告が不要となるのです。

所得が48万円以下でも確定申告をした方がいいことも

個人事業主は、1年間の事業所得が48万円以下であれば確定申告は不要と解説しましたが、確定申告をするほうが得になるケースもあります。

たとえば、事業を拡大したいとき、すべて自己資金で進められない場合には、金融機関から借入を行うケースが一般的です。借入時には過去の確定申告書の控えが必要となるため、確定申告をしていないと事業資金を借りられなくなる可能性があるでしょう。

今後、事業拡大や借入を検討している方は、所得が48万円以下でも確定申告をしておくことをおすすめします。

さらに、確定申告をすることで軽減措置も受けられます。保育園の利用料金や国民健康保険料の算定は、所得と連動しているため、確定申告によって収入が低いことが証明できれば軽減措置を受けることが可能です。

一定額の公的年金を受け取っている

公的年金を受け取る方には、「確定申告不要制度」が設けられています。確定申告不要制度の対象者は、以下の条件を満たしている人です。

  • 公的年金の収入金額が400万円以下で、源泉徴収の対象になっている
  • 公的年金を含む雑所得以外の所得金額が20万円以下

この条件を満たしていれば、確定申告の必要はありません。

個人事業主が確定申告をする際に気をつけること

確定申告では、誤って申告すると納税額に影響が出るため、あとで修正申告を行う必要があります。ここからは、個人事業主が確定申告をする際に、とくに注意したい項目を2つ紹介するので確認しておきましょう。

経費として計上可能か判断する

所得税は、売上(収入)から必要経費を引いた所得をもとに算出されます。確定申告を行う際に、経費で使用した分を正しく計上することで課税所得が減り、税金の負担を抑えることにつながるでしょう。

ここで注意したいのは、経費として計上できるものとできないものを正しく判断することです。そもそも「経費」とは、事業を進める上で必要な費用を指します。

ただし、事業とプライベート両方で使用しているものの場合は、按分して経費計上しなければなりません。

経費に関しては、認められるものと認められないものの明確な規定がなく、グレーゾーンとされているものも多くあります。

事業との関連性が証明できるかどうか、常識の範囲内で経費として見られるかどうかも踏まえて判断することが重要です。不安な場合は、管轄の税務署や税理士に相談するのが良いでしょう。

個人事業主で給与所得がある場合

個人事業主として開業届を提出していながらも、会社勤めをして給与所得がある方もいるでしょう。会社員と個人事業を同時に行っていなくても、年度の途中で退職して個人事業主となった方も、給与所得があるケースに該当します。

給与所得がある個人事業主は、給与所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。ただし、個人事業主における事業所得が20万円以上であれば、会社の年末調整とは別に、毎年必ず確定申告をする必要があります。

確定申告の白色申告と青色申告とは

確定申告の白色申告と青色申告とは
確定申告の白色申告と青色申告とは

確定申告には白色申告と青色申告があり、個人事業主は原則白色申告、青色申告承認申請書が承認されれば青色申告を選択できます

白色申告 青色申告
メリット
  • 事前に税務署への申請がいらない
  • 簡単な記帳で出せる
  • 青色申告よりも提出書類が少なく済む
  • 最大65万円の特別控除が受けられる
  • 3年間赤字を繰越せる
  • 生計を同じくする家族に支払った給与を、経費として計上できる
  • 30万円未満の資産まで一括費用処理が可能(白色申告は10万円まで)
デメリット
  • 青色申告のように特別控除がない
  • 専従者の給料を経費として計上できない
  • 基本的には赤字を繰り越せない
  • 事前に税務署で申請が承認される必要がある
  • 「複式簿記」で帳簿をつける必要がある
  • 提出期限を過ぎると特別控除額が10万円になる

白色申告とは

白色申告は青色申告の申請書を提出していない個人事業主が行なう確定申告制度です。

とくに申請などせずに簡単に始められますが、特別控除や赤字繰越などの青色申告のメリットを受けられません。

青色申告とは

青色申告は最大65万円の特別控除を受けられる申告方法です。

青色申告で特別控除を受けるには、以下の条件を満たすことが必要です。

  • 事前に税務署へ「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出する(申告する前年の3月15日まで※)

※年度の途中で開業した場合は、開業した日から2ヶ月以内

  • 55万円の青色申告特別控除:複式簿記で帳簿をつける
  • 65万円の青色申告特別控除:複式簿記で帳簿をつけたうえで、「e-Taxによる電子申告」または「電子帳簿保存」を行なう

青色申告承認申請書の提出期限は次の2通りです。

  • 青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで
  • その年の1月16日以後に事業を開始した場合には事業開始の日から2ヶ月以内

届出を出さない場合は自動的に白色申告になります。また確定申告期間を1日でも遅れると10万の特別控除になる点に注意しましょう。

複式簿記とは

複式簿記とはすべての取引を借方と貸方に分けて記帳する帳簿付け方法です。手間がかかり、簿記の知識もある程度必要になります。しかし、会計ソフトを使えば自動的に仕訳され、入力に注意すればそれほど大変ではありません。

青色申告と白色申告どちらがいい?

青色申告は事前の申告や帳簿付けが義務付けられていますが、結果的に節税を考えると青色申告の方が良いでしょう。

特別控除を受けることで、税金の支払い額が変わってくるので青色申告を選択することをオススメします。

税金の支払額がどのくらい変わるかを確認したい方は、以下のシミュレーションツールなどを利用してみると良いでしょう。

関連記事:所得税の計算シミュレーションツール7選【青色・白色や給与にかかる税金が簡単にわかる】

個人事業主の確定申告に必要な書類

個人事業主の確定申告に必要な書類
個人事業主の確定申告に必要な書類

個人事業主の確定申告で使う用紙はいくつか種類があり、また控除の申請をする場合は添付書類も必要です。どれか1つ欠けても不備になってしまうので、差し戻しなどにならないようにしっかり確認しましょう。

【個人事業主の確定申告に必要な書類】

  • 本人確認書類(マイナンバーカード・その他)
  • 確定申告書
  • 収支内訳書または青色申告決算書
  • 収支がわかる帳簿・領収書・レシートなど
  • 控除証明書や給与・年金の源泉徴収票(ある場合)

本人確認書類【マイナンバーカード・その他】

確定申告する人はすべて、マイナンバーが確認できる書類が必要です。

マイナンバーカードがあれば問題ありません。マイナンバーがない場合は、住民票の写しなど、マイナンバーが確認できる書類と身元確認書類の原本、または写しを用意します。

確定申告書

確定申告書第一表・第二表
確定申告書第一表・第二表 (出典:国税庁)

従来、確定申告書はAとBの2つの種類がありましたが、2023年提出分より確定申告書Bに近い様式に統一されました。すべての所得者が同じ確定申告書を使います。

なお電子申告する場合や、確定申告書作成コーナーで書類を作成する場合、紙の確定申告書は必要ありません。

収支内訳書または青色申告決算書

収支内訳書(一般用)の記入方法 出典:国税庁
収支内訳書 出典:国税庁
所得税青色申告決算書の記入方法 出典:国税庁
所得税青色申告決算書 出典:国税庁

個人事業主の確定申告では確定申告書の他に収支内訳書または青色申告決算書が必要になります。

収支内訳書は白色申告に必要な書類です。事業の収支を記入するもので、青色申告決算書と比較すると、記入する項目が少なく簡単に作成できます。

青色申告決算書は青色申告に必要な書類です。損益計算書1枚と損益内訳の記入書2枚、貸借対照表1枚の計4枚で構成されています。

収支がわかる帳簿・領収書・レシートなど

収支内訳書や青色申告決算書を作成するために、収支がわかる帳簿が必要です。このために、日々の帳簿付けを怠らないようにしましょう。

とくに青色申告を行なう場合、1回の取引を複数の科目で記録する複式簿記により日々の取引を記帳し、損益計算書と貸借対照表を作成して確定申告をしなければなりません。

帳簿をつけていない場合は、経費がわかるレシートや請求書、収入がわかる領収書や銀行の振込明細などを用意します。

その他【控除・配当所得・給与・年金】

所得控除がある場合、その金額を所得から差し引くことで、課税所得を減らせます。控除を受けるには、所得控除に関する証明書類が必要です。

  • 社会保険料控除:支払額が分かる証明書、領収証
  • 生命保険料控除・地震保険料控除:生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書
  • 医療費控除:医療費の領収書
  • 小規模企業共済掛金等控除:小規模企業共済等掛金控除証明書
  • 住宅ローン控除:住宅借入金等特別控除額の計算明細書、住宅借入金残高証明書
  • 勤労学生控除:学校や法人から交付を受けた証明書
  • 寄附金控除:寄附金の受領書
  • 政党等寄附金特別控除:政党等寄附金特別控除額の計算明細書、寄附金控除のための書類

控除を証明する書類はそれぞれ発行する場所が異なります。なくしてしまっても再発行してもらえるため、問い合わせてみましょう。

また配当所得や給与所得、年金がある場合は、それぞれ以下に記載する書類の用意が必要です。

  • 配当所得がある場合:配当の種類に応じた支払通知書、特定口座年間取引報告書
  • 給与所得がある場合:源泉徴収票
  • 年金がある場合:源泉徴収票

個人事業主が確定申告する流れ

個人事業主の確定申告の流れ
個人事業主の確定申告の流れ

個人事業主が確定申告をする際の、実際の手続きのおおまかな流れは以下の通りです。

  1. 帳簿や必要書類を準備する
  2. 「収支内訳書」または「青色申告決算書」を作成する
  3. 「確定申告書」を作成する
  4. 作成した書類を提出する
  5. 納税する(または還付を受ける)

1.帳簿や必要書類を準備する

まずは確定申告に必要な書類を揃えます。必要書類が見当たらない場合、発行に時間がかかる場合もあるため早めに確認しましょう。

  • 本人確認書類【マイナンバーカード・その他】
  • 確定申告書
  • 収支内訳書または青色申告決算書
  • 収支がわかる帳簿・領収書・レシートなど
  • 控除証明書や給与・年金の源泉徴収票(ある場合)

確定申告書の用紙は、次の方法で手に入れられます。

  1. 税務署や市区町村の役所、確定申告の相談会場で受け取る
  2. 国税庁のサイトからファイルをダウンロードして印刷する
  3. 住所を書いた返送用封筒と希望書類のメモ書きを税務署へ送付する

2.「収支内訳書」または「青色申告決算書」を作成する

確定申告書より先に、収支内訳書または青色申告決算書を作成します。

白色申告の場合は収支内訳書、青色申告では青色申告決算書です。1年間の売上高や経費などを記載した帳簿をもとに、集計した数字を入れていきましょう。

このとき一番重要なのは、集計作業です。売上は漏らさず集計し、経費も間違いなく計算して正しい数字を計上します。

詳しい書類の作成の仕方は、国税庁の資料を参考にしましょう。

参考:

令和5年分 収支内訳書(一般用)の書き方

令和5年分 青色申告決算書(一般用)の書き方

確定申告書作成コーナーでも収支内訳書、青色申告決算書を作成できます。

初めて帳簿を作成したり、収支内訳書や青色申告決算書を作成したりするとなると戸惑うことも多いでしょう。

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3.「確定申告書」を作成する

完成した収支内訳書または青色申告決算書の数字をもとに、確定申告書を作成します。確定申告書には第一表と第二表があり、それぞれに記入しましょう。

第一表は所得税を計算し、第二表は所得控除や住民税に関する事項を記入する書類です

確定申告書も、国税庁から作成の手引きが用意されています。

参考:令和5年分所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き

こちらも分からないことがあれば、税務署か税理士に相談しましょう。

税務署が教えてくれるのは書類の書き方までなので、そもそも決算書を正しくつけられているか不安な方は、税理士への相談をおすすめします。

4.作成した書類を提出する

作成した確定申告書と収支内訳書または青色申告決算書、所得控除に関する書類を提出します。

提出方法は管轄の税務署に郵送する方法、持参する方法、e-Taxでの電子申告の3種類です。

税務署に郵送で提出する

郵送の場合、提出期限日の消印が有効なため、期限ギリギリでも当日の消印さえあれば遅延になりません。

ただし万が一書類に不備があった場合は再提出に時間がかかり、期限内の納付が難しくなる場合があります。初めての確定申告などで、提出書類の内容に自信がない人には向きません。

関連記事:確定申告は郵送でできる! 封筒のサイズやマイナンバーについて解説

税務署の受付に持参する

税務署への持参は目の前で内容をチェックしてもらえるため、初めて確定申告する場合や、作成に慣れていない場合に安心です。間違いがあった場合はその場で修正でき、差し戻されて期限が過ぎるというリスクはありません。

ただし持参する方法は税務署が遠い人や、仕事が忙しくて開庁時間内に時間が取れない人には難しく、期間内は混雑して長時間待たされるというデメリットもあります。

e-Taxで申告する

e-Taxを使って電子申告をする方法もあります。e-Taxはインターネットで24時間いつでも作成でき、すぐに申告できるのが大きなメリットです。

ただしe-Taxはいったん導入すれば非常に便利ですが、事前準備の手間がかかります。マイナンバーカードや読み取り用のスマホを用意して、手続きしなければなりません。

マイナンバーカードがない場合は「ID・パスワード方式」で利用することになりますが、手続きするため税務署の窓口で本人確認を行なう必要があります。

参考:ご利用の流れ | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

5.納税する(または還付を受ける)

確定申告書の提出が終わったら、納税の必要がある場合は速やかに納付しましょう。納付期限は確定申告の最終日(3月15日)です。

所得税を納め過ぎていた場合は還付金が戻ります。確定申告してから1ヶ月から1ヶ月半後に指定口座へ振り込まれますが、 電子申告のe-Taxで提出した場合は約2〜3週間と早いのが特徴です。早く還付してもらいたい場合はe-Taxを利用するのがよいでしょう。

納税にはいくつか方法があります。

振替納税を利用する

口座振替の場合は期限が約1ヶ月後になるため、余裕があります。支払いの手間も省けるため、手続きするのがおすすめです。手続きは確定申告最終日までに「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を所轄税務署か金融機関に提出しましょう。口座振替の場合、領収証書は発行されません。

e-Taxで納付する

e-Taxで電子申告した人だけが使える方法です。納税の約1ヶ月前までにダウンロードできる「国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書」を、管轄の税務署に提出しておきます。

納付方法は、確定申告のデータを送信したあとに「今すぐ納付する」または「納付日を指定する」という選択画面が表示されるので、どちらかをクリックして画面の指示に従い操作するだけです。口座引き落としにより、納税が完了します。

スマホアプリで納付する

スマホサイト「国税スマートフォン決済専用サイト」より、ペイ払いで納付する方法です。PayPay、d払い、auPay、LINE Pay、メルペイ、Amazon Payを利用できます。

クレジットカードで納付する

インターネット上でクレジットカードによる納付ができます。国税庁長官が指定した納付受託者へ、国税の納付の立替払いを委託した納付手続です。クレジットカードによる納付はサイトからのみになります。

QRコードによりコンビニエンスストアで納付する

納付金額が30万円以下の場合、コンビニエンスストアで納付できます。確定申告書等作成コーナーの「コンビニ納付用QRコード作成専用画面」から納付に必要なQRコード(PDF)を印刷し、持参して支払いましょう。

金融機関又は税務署の窓口で現金で納付する

金融機関又は管轄税務署の窓口で、現金に納付書を添えて納付する方法です。納付書は税務署又は管轄税務署管内の金融機関に用意してあります。税務署に確定申告書を提出したついでに支払いできるため便利です。

確定申告の内容に誤りがあった場合の手続き

確定申告に誤りがあった場合の手続き
確定申告に誤りがあった場合の手続き

個人事業主の確定申告では、万が一誤りがあった場合でも、期限内であれば修正して再提出できます。期限後に誤りに気づいた場合は修正申告になってしまう点に注意しましょう。

【申告した税額が少なかった場合】修正申告

申告をした税額が実際より少なかった場合は、修正申告をして正しい税額に修正します。修正申告書を作成してすみやかに提出しましょう。税務署から指摘を受ける前に修正申告をすれば過少申告加算税はかかりませんが、延滞税は請求されます。自発的に修正しない場合は税務署が更正し、新たに加算税と延滞税が課されるため注意が必要です。

【申告した税額が多かった場合】更正の請求

申告した税額が実際より多かった場合は、更正の請求という手続きになります。更正の請求書を作成して税務署に提出しましょう。内容が認められた場合、納めすぎた税金が還付されます。更正の請求ができるのは5年以内のため、誤りに気付いたら早めに対応してください。

個人事業主が確定申告をしないとどうなる?

期限を過ぎてしまった場合は「期限後申告」になり、納めるべき税額のほかに無申告加算税や重加算税が課される場合があります。加えて、納期限の翌日から納付の日までの延滞税も課されるため注意しましょう。

なお無申告加算税は申告期限後、1ヶ月以内に自主的に申告している場合は課されません。また、期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当するときも同様です。

自主的納付が1ヶ月を超えて、税務署から指摘された後で期限後申告した場合、所定の税率で無申告加算税が課されます。

原則 納める所得税が50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%
自主的に期限後申告した場合 納める所得税の金額にかかわらず5%
税務署から指摘された後に自主的に期限後申告した場合 納める所得税が50万円までの部分は10%、50万円を超える部分は15%

悪質な隠ぺいまたは偽装があったと認められたときは重加算税が課されます。税率は申告していた場合で35%、無申告の場合は40%です。

無申告の場合、ペナルティは追徴課税だけではありません。故意による無申告は「故意の申告書不提出によるほ脱犯」として、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、もしくは両方が課されることになります。

個人事業主が確定申告を早く終わらせるには

個人事業主が確定申告を早く終わらせるには
個人事業主が確定申告を早く終わらせるには

事業を始めたばかりの個人事業主にとって、初めての確定申告は大変です。慣れない記帳に時間が取られてしまいますが、事業の始めは本業に専念したいという気持ちも大きいでしょう。

少しでも早く、楽に確定申告を終わらせるには、会計ソフトを利用する、あるいは税理士に依頼するという方法がおすすめです。

会計ソフトを利用する

確定申告を早く終わらせるのに役立つのが会計ソフトです。今は初心者でも簡単に利用できるソフトが多く、クラウド型のものならすぐに始められます。

費用は月額1000円~、または年額1万円~です。ただし初めての人は一定期間無料で利用できるソフトもあるので、まずは使いやすいか試してみるとよいでしょう。

確定申告を税理士に依頼する

確定申告を税理士に依頼するのはかなり推奨できる方法です。税務会計のプロが作成するため、正確な申告書が作れるでしょう。また事業はスタートの段階が肝心で、事業主はできるだけ経営に力を入れたいものです。確定申告を税理士に依頼することで記帳や申告書作成にかける手間が省け、本業に集中できます。

費用がかかるのがデメリットですが、単に申告書の作成だけでなく相談事に対応してくれる税理士もいます。事業を始めたばかりの個人事業主には、ありがたい存在になるでしょう。

関連記事:確定申告の税理士費用の相場はいくら? 税理士に依頼するメリットや選び方を解説

監修税理士からのコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

青色申告は個人事業主にとっての最大の節税策と言えます。キャッシュ・アウトが無いにもかかわらず65万円の経費があるかのように申告をすることができるためです。 開業時には必ず開業届と青色申告承認申請書をセットで税務署に提出するようにしましょう。

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個人事業主は自分で収支を記録し、税額を計算して確定申告しなければいけません。初めて行なう場合、どうやれば良いか迷う方も多いと思います。

また焦って申告内容を間違えたり、期日を過ぎてしまったりする事態は避けたいもの。確定申告を正しく速やかに終わらせるためには、税務のプロである税理士におまかせするのもおすすめです。

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2024年(令和5年分)の申告に関する最新情報

2024年(令和5年分)確定申告の申告期間:令和6年2月16日~3月15日(土日祝日除く)

申告は期限後にも行えますが、ペナルティが発生するため期限内に行いましょう。